<J1:清水0-0鹿島>◇第2節◇2日◇アウスタ

 清水が1歩も譲らなかった。東日本大震災発生翌日の3月12日に組まれていた鹿島戦。当初はホーム開幕を飾るはずだった大一番は、仕切り直してもがっぷり四つの激闘となった。FW高原直泰(32)が側頭部から流血する傷を負いながら最前線でフル出場。GK碓井健平(24)は体を張り続け、プロ初の2試合連続完封でスコアレスドローに持ち込んだ。

 J屈指の強豪と互角にやり合った。本来の日程よりも約4カ月遅れで迎えた今季初の鹿島戦。当初は「ホーム開幕戦」としてモチベーションを高めた相手に、あらためて清水イレブンが立ち向かった。序盤は相手の猛攻を受けたが、守備陣がゴール前で体を張りブロック。前節仙台戦に続き2試合連続でダブルボランチを採用した中盤は村松-平岡の守備的な選手がピッチの中央で、じっとこらえて堅実な仕事ぶりを披露。最前線のFW高原も相手との接触プレーで側頭部から流血。ぐるぐる巻きにテーピングした痛々しい姿でプレーを続けた。

 過去4年間で3度のJリーグ王者の鹿島に対し、アフシン・ゴトビ監督(47)は「日本のベストクラブ」と位置づけ、「彼らはいつでもスイッチを入れられる」と強く警戒していた。前半のシュート本数は相手7本に対し、清水はわずか2本。堅守速攻を得意とする両チームだけにシュート数=主導権の構図とは限らないが、守っているだけでは歓喜の瞬間は訪れない。指揮官は「もっと強く、もっと戦え!

 もっと男になれ!

 ホームだぞ!

 ホームだぞ!

 ホームだぞ!」と、選手たちの闘争心をかき立てた。

 指揮官同様に選手たちも思いは同じ。今季、チームの全18得点のうち13得点を量産している「勝負の後半」に突入した。交代カードはFW高木、MF枝村、MF小林と3選手とも攻撃的選手を投入。高木は同17分に得意のミドルシュート。枝村も縦横無尽に走り回った。司令塔の小林は前線にとどまりゲームをコントロール。前半よりも前がかりになったことで逆にピンチも増えたが、この試合でJ1通算100試合出場を達成したDF岩下や、結果的に2試合連続完封となった碓井を中心に、守備陣が冷静に対処してスコアレスドロー。「勝てなかった」と感じることがエスパルスの成長を象徴している。【為田聡史】