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コラム「“チームnikkan”のアメフト講座 〜フットボールの楽しみ方〜

関西学生アメフトにまつわるエトセトラ/井藤融

 「アメフトについて何か書いてください。初心者向け、が良いです」。第1回のT女史と同様、私も電子メディア局サブマネジャーY氏に迫られた? ものの、こちらもプレー経験どころかスタッフ経験もないわけで、裏側を書くなんて芸もなし。そもそも自分の立場を強いて定義するなら「単なるコアなファン」…。実はもうこうなってしまうと初心者のころがあったことが自分でも信じられなくて、思い出すまでに至らず。無理矢理なんとか思い出せたのは、なんで今の会社に入ったかということ。「関西学生アメフトを取材したかったんや」。大事なこと思い出しました。今回はこれでいきましょう。

 関西学生アメフトって大学スポーツ界においては異質な存在なんです。大学スポーツ、特に球技の総体的な傾向とは「関東勢が圧倒的に強い」ということです。メジャーな球技の実績と比べてみると一目瞭然(りょうぜん)。例えば野球の全日本大学選手権なら関東勢「以外」が優勝したのは過去58回中11回。サッカーなら過去57回中7回(インカレ)。ラグビーでいえば45回中4回。バスケット男子は60回やってまだ1度も優勝していませんよ(女子バスケは愛知学泉大学という強豪校があるのでちょっと特別ですが)。

 なぜこうなるかといえば、環境面で説明すれば「日本で一番人が集まる地域だから」。これに尽きます。関東は大学の数も多いですし、それに比例して人材も集まりますから、その中で切磋琢磨(せっさたくま)すれば当然といえば当然の結果です。

 しかし、アメフトだけは異なるのです。関東と関西のチャンピオンが毎年12月に甲子園球場で激突する「甲子園ボウル」では32勝27敗4分けと関西勢が勝ち越しているのです。特に平成に入ってからの20年間ではなんと14勝5敗1分け。圧倒的に上回っているのです。

 なぜこんなことが可能なのかと言えば、1つにはアメフトの競技特性というものがあります。野球を除けば多くの球技は連続的にプレーが展開されていきます。そうなると、選手個人の技量が試合全体に占める割合が高くなります。1度相手に優勢な流れになると、それを取り返すのには個人の技量をもってしか取り返せない部分が大きく、人材の差がそのまま差に出ることが多いのです。

 しかしアメフトは違います。ワンプレーごとにプレーが止まり、最初から仕切り直します。これを「ブツ切れに見えてつまらない」という方もいらっしゃるのですが、逆を言えば、前のプレーで失敗したことを反省したり、相手を分析し直すことで新たな試み、新たな角度からの挑戦が何度もできるわけです。つまり適切な作戦に変更する、ということです。そうすると試合中にいかに修正できるか、それをチームの意思としてチーム全体がその通り機能するか、というチームとしての組織力の部分が占める割合が高くなります。むろん圧倒的な能力差があり、何をやっても通用しない状況であれば、やはり人材の差で負けることになるのですが、それでも何かやりようがあるはずと、模索するところ、アイデアを考えるところもアメフトの魅力の1つだと言えるでしょう。

 さて、人材の差を組織力(作戦)で縮めることができると説明しましたが、それでも関西が勝ち越すという事実の説明までには至っておりません。それは一体なぜなのか?

 少々お話が長くなりました。それはまた次回の講釈で。

井藤融(いとう・とおる)
1996年日刊スポーツ新聞大阪本社入社。広告事業局勤務。アメフトとの出会いは小学4年の時に見たローズボウル。以来どっぷりはまり観戦歴だけなら30年。本文通り関西学生を取材したくて入社したにもかかわらず、なぜか今は東京勤務。そしてなぜか東京転勤以降からアメフト関係者の知り合いが急激に増えており、人間万事塞翁が馬を地でいく人生となっている。

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