米男子ツアーのメモリアル・トーナメントは4日に米オハイオ州ミュアフィールドビレッジGCで開幕、昨年覇者として松山英樹(23=LEXUS)が登場する。2日(日本時間3日)には予選ラウンドの組み合わせが発表され、松山はメジャー5勝を含む米ツアー42勝のフィル・ミケルソン(44=米国)、5月に“第5のメジャー”プレーヤーズ選手権を制したリッキー・ファウラー(26=米国)と同組になった。米ツアー初制覇から1年、松山の専属キャディーである進藤大典さん(34)が現在の心境を語った。

 ミュアフィールドビレッジに1年ぶりに帰ってきました。相変わらず素晴らしいコース、大会の雰囲気です。コースにはいたるところに英樹の写真が飾られています。昨年覇者として戻ってこれたことを誇りに感じますし、身が引き締まります。

 1年前の今頃は無我夢中、すべてに余裕がない中、転戦していました。そんな中、クラウンプラザ招待で第3日に首位タイになり「日本と違いビッグスコアを出さないと勝てないかな」と考えていました。結局71(パー70)で優勝したA・スコットには3打及ばなかったですが、正直「優勝スコアが手に届くところにある」と感じました。米ツアーで勝つことへの距離感が初めてわかった。その経験をできたことが大きかったです。そして迎えたのが翌週のメモリアルです。

 当時はがむしゃらで気づかなかったのですが、今、振り返れば反省点もあります。「もう少し楽に勝てたかも」と思うのです。メモリアル最終日の最終3ホールはダブルボギー、ボギー、バーディーでプレーオフ突入。結果論ですが、そこはボギー、パー、パーでも勝てていたのです。16番パー3でのクラブ選択は、ぎりぎりのクラブ=6番アイアンを使って池に落とした。そこは1つ大きなクラブでグリーンの奥側を使えばよかった。仮にプレーオフで負けていたら「敗因は16番」となったでしょう。

 今は1勝した重みを感じます。例えば、ポイントランク30位以内に入れたので、今季はすべての試合でプロアマ戦に出られるようになりました。開幕前日の水曜日に確実にラウンドと練習ができる。プロアマに出られない時は月曜日のコース入りも必要だったけど、今は月曜日をゆっくり使えます。

 しかも日本と違って米ツアーでは、プロアマ戦のスタート時間を選手が選べます。3週前のウェルズ・ファーゴ選手権、マキロイは午後の一番遅い時間帯を選びました。2週前に5日間で7ラウンドのキャデラック・マッチプレー選手権を戦い抜いて優勝し、翌週に“第5のメジャー”プレーヤーズ選手権、疲れがあったのでしょう。彼は月曜、火曜を休養に充て、水曜日午前にプライベートジェットを使ってコース入り、この作戦が功を奏して今季2勝目につなげたのです。英樹は午前の遅い時間帯、ウッズは午前の早い時間帯と好みもありますが、柔軟な対応も含めて日程調整がしやすくなりました。

 今季は優勝争いを重ねても勝てず、悔しい思いはしましたが、悲観はしていません。またチャンスは来ると、必ず勝てると思ってきました。今週も勝つために準備します。(2015年6月4日付紙面掲載)