<松山英樹専属キャディー・進藤大典>

 英樹が優勝したメモリアル・トーナメント開幕前々夜、僕はアダム・スコットのキャディー、スティーブ・ウイリアムスさんと夕食に出かけました。通算150勝。海外メジャーでも17勝も挙げた、誰もが認める世界一のキャディーです。

 約2時間、貴重なお話を伺うことができました。勝てるキャディーと勝てないキャディーの違い。そこには選手とのコミュニケーションの取り方だけでなく、自身の生き方までが関わると、彼は考えていました。いわゆる「人間性」や「日頃の行い」。僕もそれが大事だと思っていたので、うれしく思いました。

 直後のメモリアル・トーナメントでは、最終日に彼らと同組で優勝争いをしました。その中でもスティーブさんは、僕に何度も声をかけて勇気づけてくれました。食事中、「英樹は海外メジャーでも勝てる男」と熱く語っていただいたことも、優勝争いの中で心の支えになりました。

 いつも「日本の家族は元気か? 子どもは寂しがってないか」と気遣ってくれます。究極の戦いの中でも、若い僕らを思いやってくれる「人間性」。やはり彼はすごいキャディーだと、あらためて感じました。

 僕はスティーブさんに「キャディーの仕事が好きですか?」と聞きました。彼は「素晴らしい選手たちのプレーを一番近くで見ることができる最高の仕事だ」と即答してくれました。やはり自分の仕事を心から愛してこそ、真のプロフェッショナルなのだと確信しました。(2014年6月11日付紙面掲載)