石川遼(23=CASIO)が6バーディー、ノーボギーの64で、米ツアー通算108試合目で初の首位に立った。17番でチップインなど小技がさえ、ボギーをたたかず好発進だ。2週前のプレーヤーズ選手権で今季最高の8位。持ち前の思い切りのいいショットを取り戻し、好材料がそろってきた。

 石川は最終ホールの9番で下りフック10メートルのバーディーパットを沈め、右手で大きくガッツポーズ。「ラインは分かっていた」「自分のできる中で一番いいスコアだったと思う」。悪天候のためスタートが2時間40分も遅れ、ホールアウトは午後7時過ぎと長い1日となったが、顔には疲れではなく晴れ晴れとした笑みがあふれていた。

 ショットは完璧ではなかった。7ホールでグリーンを外したが、絶妙な寄せで6ホールは1パットパー。17番ではグリーン左のラフからチップインバーディーで波に乗った。「ミスの後のリカバリーが今日はよくできた」。パットも危なげなく、今季17戦目で60台発進は昨年11月のCIMBクラシック以来2度目だ。

 今大会は過去3回出場で70位が最高位。だが、コースについては「狭くて高い木があり、中日クラウンズの(名古屋GC)和合っぽい」。10年に最終日「58」を出して大逆転勝ちした和合とイメージが重なり、好印象だ。昨年とこの日の違いは「(今は)振り切れている」と分析する。「(安全に)置きにいってミスするのと、振り切ってミスするのとでは全然違う。この数週間の優勝者を見てそう思った」。迷いのない、思い切りのよさが戻った。

 8番ではクラブ選択を誤ったのと、ミスショットが相殺されてピン奥3メートルについてバーディー。「あれはラッキー」と言いつつも、「ラッキーをもらえる、もらえないの違いはプレーの積極性」と、気持ちもグンと高まっている。