石川遼(24=CASIO)が通算11アンダー133で単独首位に立った。1打差2位から出て、7バーディー、ノーボギーの65をマーク。2位の黄重坤(23=韓国)に4打差をつけ、独走態勢に入りつつある。前日に続きリカバリーショットがさえ、メリハリをつけて集中力を最後までつないだ。今回同様ホストプロだった9月のANAオープンに続く今季2勝目、通算13勝目に大きく近づいた。

 石川は18番グリーンに来るまで順位ボードは見なかった。それだけ自分に集中していた。その時点で2位と5打差で「びっくりしました」。ピン手前2・5メートルのバーディーパットをしっかり沈め「通算10アンダーまではいきたいと本能的に思っていた」。目標スコアを1打上回った。

 「そこまですごい内容ではない」。ショットの精度には満足していないが、それを補う技術がある。5番パー5、右の深いラフからの第2打は約2メートルの木の間を通し「80ヤードくらい曲がった」というフックで左セミラフへ。残り185ヤードの第3打をピン奥2・5メートルにつけてバーディーとした。リカバリーが自分の持ち味だと自負し、見事に2日連続ノーボギーだ。

 この日はハーフターンで50分の待ち時間があった。多くの選手はパット練習や軽食をつまむ程度だが、石川は「自分でスイッチを切りました」。クラブハウスの食堂でうな重の大盛りとラーメンを注文し、がっつり平らげた。米ツアーでは雷などでの中断も多く、当初は気を張ったまま過ごしたが、他の選手がオンとオフを切り替えるのを見て「勉強になった」。中断時のランチは「米国なら普通にやっている」とも。このメリハリが、次の集中力を生むというわけだ。

 「おなかいっぱいで体が回らないかと思ったけど、10番では順調に打てたので、もっと食べても良かったかな」と屈託なく笑った。同時にホストプロという立場に「自分の中で燃えるものがある」。エネルギーは満タンだ。【岡田美奈】