矢野東(38=フリー)が生涯初のアルバトロスを決めた。14番パー5で第2打を放り込み、データが残る85年以降ではツアー31人目(35回目)の達成者となった。66で回り、通算16アンダー、200の2位に浮上。54ホール終了時点でのツアー最多アンダーパー記録に並ぶ同23アンダーで首位を独走するショーン・ノリス(南アフリカ)とは7打差。8シーズンぶりの4勝目にわずかな望みをつなぐビッグプレーとなった。

 起死回生だった。14番パー5、残り194ヤードの第2打。矢野が7番アイアンを振り抜くと、ボールはカップに吸い込まれた。わずかなギャラリーから大きな歓声が上がる。「生まれて初めてだよ」。思わず声を張り上げ、拳を握った。

 雑草交じりの右ラフから。追い風も吹き、距離の計算は難しい。「グリーンに乗れば十分だった」と無欲の一打だった。「自分の思い通りの球が出た」という手応えこそあったが、入る予感はなかった。「まさかですよ。鳥肌が立った」と笑いが止まらなかった。

 爆発的にスコアを伸ばすトップを横目に前半はパープレー。2打差の5位から出たはずが、背中は遠のく一方だった。「バーディー3つ分(のアルバトロス)。そこから息を吹き返した」。続く15番で2メートルのバーディーパットを沈めると、18番は5メートルをねじ込みガッツポーズで締めくくった。

 7打差にも前を向く。「チャンスの残る位置。かみ合う人は10アンダーくらい出せるコース」。14年シーズンは賞金ランク85位に沈み、12年間守ったシードを喪失。特にアプローチはグリーンを外してもひたすらパターを握るほどの不調に陥った。イップス寸前からはい上がり、昨季同ランク64位の第2シードを確保。どん底の時を思えば、諦めるはずもない。