イ・ボミ(28=延田グループ、韓国)が今季4勝目を挙げ、ツアー史上8人目の誕生日優勝を飾った。

 4バーディー、3ボギーの72で回り、通算9アンダー、210で大江香織(26)全美貞(33=真露、韓国)と並んでプレーオフ(PO)に突入。1ホール目でバーディーを奪って勝負を決めた。

 朝のティーオフでは「今日が誕生日の…」と紹介され、試合後はギャラリーがバースデーソングを大合唱。「最高にうれしいです。今日という日を忘れないと思います」。誕生日に勝つのは初めてだった。

 最終日前夜、14年に亡くなった父ソクジュさん(享年56)が夢に出てきたという。「何も言葉は交わさずにハグしました。お父さんに会えてうれしくて、泣いたら夜中に目が覚めて…」。亡き父が夢枕に立つのは、年間獲得賞金の国内最高額を更新した昨年11月の大王製紙エリエール・レディース以来のことだった。

 清水重憲キャディー(42)には「誕生日だから出てきてくれたんじゃない?」と言われた。そして、家族への思いを再確認した。「お父さんとお母さんの愛があって、私は生まれた。お父さんがいないことは寂しいけど、お母さんや私の家族が、私を支えるために頑張ってくれていることに感謝して、頑張ろうと思いました」。一時は2位に3打差をつけながら追いつかれる苦しい展開。それでも、負けるわけにはいかなかった。

 ツアー通算19勝目で韓国ツアーの永久シードにあと1勝。さらに大きな目標ができた。リオデジャネイロ五輪女子ゴルフで同い年の朴仁妃(28=韓国)が金メダルを獲得。「友達のインビ(朴)の金メダルを見たら『私も(東京五輪で)金メダルを』と思いました」。世界一の選手層を誇る韓国女子ゴルフで、30歳を超えて代表に入ること自体が容易ではない。夢をかなえるため、日本で勝ち続ける。【亀山泰宏】