アマチュア初の2週連続Vへ好発進だ。日本女子オープンで国内メジャー初のアマチュア優勝を飾った畑岡奈紗(17=茨城・ルネサンス高3年)が、4バーディー、1ボギーの69で回り、3アンダーで首位と1打差の4位につけた。高校生離れしたコースマネジメントや意識の高さで、周囲を驚かせ続ける超新星。今日8日の第2ラウンドでは、勝みなみ(18=鹿児島高3年)とプロツアー初の同組対決に臨む。

 いつもは練習場で行うウオーミングアップを、畑岡は人目を避けるように駐車場で済ませた。“勝みなみ世代”の1人だった少女が、今や一挙手一投足が注目されるシンデレラガール。賞金ランク1位のイ・ボミ(韓国)、3位の笠という予選ラウンドの豪華なペアリングも1週間前までは考えられなかった。

 盛大な拍手で迎えられた1番のティーショット直前、小さくジャンプした。「トミー・アカデミー」で指導を受けた中嶋常幸から「体に血液を回すように」と教わったルーティン。日本女子オープンでも優勝につながるバーディーを奪った18番の第2打直前に見せた勝負のスイッチだ。いきなりのバーディー。「スタートするまで自分のゴルフがどうなるか分からないところもありましたが、いつも通りやれていると思います」。キャディーの母博美さんも「落ち着いていました」と成長を感じ取った。

 勢いだけではない。9番は短めに持って振ったドライバーショットが、飛びすぎてバンカーへ。「風の読みが甘い」と悔やんでも、すぐに切り替えた。「スタンスが取りにくそうだし、無理をしない方が大ケガにならない」。第2打はフェアウエーに出すだけという安全策を取りつつ「一番得意な距離」という110ヤードを残した。ピッチングで2メートルに寄せてパーを拾った。

 ナショナルチームのトレーナーを務める栖原弘和氏は「トップアマが集まるナショナルチームの中でも、特にトレーニングへの意識が高い。吸収力のあるスポンジのような子」と表現する。今大会後のプロ転向が見込まれるが、見据えるのは来季からの米ツアー参戦。スケジュールを共有する高校側には「(米ツアーの新シーズンが始まる)1月にはアメリカに行きます」と“宣言”しているという。明確な目標があるから、誰よりも貪欲になれる。

 ツアー2勝を挙げたアマチュアは過去にいない。2週連続Vも当然初めてだ。その偉業に挑戦できるのは今大会が最初で最後の可能性が高い。国内トッププロと同組になっても堂々と主役を張り、今日8日は勝とのスーパーアマ対決。畑岡から目が離せそうにない。【亀山泰宏】

 ◆畑岡奈紗(はたおか・なさ)1999年(平11)1月13日、茨城・笠間市生まれ。子どもの頃にアポロの月面着陸を見た父仁一さんが「人類初の偉業を成し遂げ、世界に羽ばたく子に」と願い、米航空宇宙局(NASA)と同じ読みの名前を命名。ゴルフは11歳から。中学2年時に「トミー・アカデミー」に入門。15、16年世界ジュニア2連覇。158センチ、62キロ。