待望のツアー初優勝へ、藤崎莉歩(25=フリー)があと1歩届かなかった。

 元賞金女王の全美貞とのプレーオフ。18番パー4でパーオンに失敗。逆に7メートル、大きくふくらむ下りフックラインのバーディーパットを決められて、敗れた。「全美貞さんが、いいパットを打ったなあと思った」。敗れた瞬間も涙はなく、笑顔を見せた。

 プロ8年目でツアー過去最高位は14年サイバーエージェントレディースの13位。賞金ランクは昨年の94位が最高で、シード経験はない。最終QTランク28位でツアーフル参戦が見込める今季に向け、このオフ初めて沖縄で1週間の合宿を張った。伸び悩む現状打破へ。「アプローチを磨かないといけない」。ティーチングプロの父敬一さん(59)の指導を受け、寄せの練習を繰り返した。

 無名の存在だが、スポンサーは超優良企業。昨年からパナソニックの支援を受けている。同社が下部ツアー参入(パナソニックオープン)を機に女子プロのスポンサーにも乗り出し、企業的に縁の深い大阪出身の藤崎に白羽の矢を立てた。目立った実績もない自分に“投資”してくれたことに「今まで以上に頑張らないといけないと思っています」と感謝する。

 今季の目標はシード獲得、ツアー初優勝。この日は終盤の3連続バーディー。特に17番でカラーから13メートルのスネークラインを放り込み、首位に追いつく勝負強さを見せた。飛び出した新星が、今後は注目されそうだ。