吉田弓美子(29=フリー)が背中痛に苦しみながら涙の今季初優勝、ツアー2季ぶりの通算6勝目を飾った。首位でスタートし、5バーディー、2ボギーの69で回り、通算12アンダー204をマーク。28日の30歳の誕生日を前に20代最後の大会で優勝を成し遂げた。

 連続ボギー発進だった。2番終了時、吉田はキャディーに球拾いを頼んだ。前週から患う背中痛は限界に近づいた。途中棄権もよぎったが「最後までやり切りたかった」と耐え抜いた。激痛でスイングに力みが抜け、パー5の4、5番で連続バーディー。12番はピンまで残り25ヤードの3打目でチップインバーディーに成功した。17番パー3はバンカーからリカバリーし、13メートルのパーパットを沈めた。神懸かったプレーを連発し「川奈の女神がほほえんでくれた」と、うれし涙を流した。

 昨年は夏場を境に体調を崩し、欠場が続いた。心身のバランスが崩れ「クラブを持つ手が震え、2~3時間しか眠れない時期を過ごした」と振り返る。大好きなゴルフを忘れたくなり「精神科の病院に通ってゴルフと向き合うリハビリを続けていた」とも明かした。同年齢プロの川満陽香里や原江里菜らに励まされ、再び競技復帰できたという。「今はゴルフと一緒に人生を歩もうと思える。幸せです」と両目を充血させた。

 20代最後のツアーを制し「29歳の悪あがきができた」と照れながら涙をぬぐった吉田。第1日から「目標は完走」と設定したゴールには、最高の優勝テープが待っていた。【藤中栄二】

 ◆吉田弓美子(よしだ・ゆみこ)1987年(昭62)4月28日、神奈川・相模原市生まれ。ゴルフ好きの父一成さんの影響で10歳から競技開始。厚木北高卒業後、07年からプロとしてツアー参戦。12年NEC軽井沢72でツアー初V。13年はミーティング委員長(選手会長)を務めた。164センチ、65キロ。血液型はAB。