日本女子ゴルフ界の国民的ヒロインが第一線を退く。宮里藍(31=サントリー)が26日、今季限りでの現役引退を発表した。担当記者がその素顔を語る。

 「こんな言い方をしたらあれかもしれないですけど、若い子に勝とうと思ってやってるわけじゃない。私は自分のゴルフのレベルをいかに上げていくか、それだけを考えています」。昨年6月の全米女子プロで宮里から聞いた。第1ラウンドを日本人トップの20位で終えていた。同組はシーズンで2勝を挙げていた23歳野村、前年17歳で優勝を飾ったヘンダーソン(カナダ)。練習が終わるのを待ち、帰り際に呼び止めた。「伸び盛りの若手と同組で…」と聞いた時、少しだけ強い口調で返された。

 魔法のようなパットで世界の頂点を極めた。13年のミヤギテレビ杯ダンロップ女子最終日。後続に4打差をつけながら15番の“4パット”でV逸した。パターのわずか変化も感覚を狂わせ「右に押し出す癖がついてしまった」と話したこともあった。パワー全盛の米女子ツアーにあって最大の武器に苦しみながら、最後まで試行錯誤を止めない姿が印象に残っている。

 米ツアー参戦以降、軸足を再び日本へ戻す選択肢は最初からなかった。誰かと自分を比べるのでもなく、恵まれた環境に甘んじるわけでもなく、宮里はどこまでも自分のゴルフを極めようとしていた。【15年~担当=亀山泰宏】