大堀裕次郎(25=フリー)が5バーディー、ノーボギーの66で回り、首位に立つ最高のスタートを切った。

 会心のプレーかと思いきや、ホールアウト後の取材では元気がない。「風邪をひいてしまって…」。前日は悪天候によるコースコンディション不良のために中止となったが「昨日試合だったら、出られてない。ラッキーでした」というほどギリギリの状態だった。冷たい雨が降ったこの日のラウンド中は、しょうが湯を飲んで体を温めた。

 体調が優れない分、ミスショットをしても、いい意味で諦めがついて切り替えることができた。ハイライトは木の根元にティーショットを曲げた後半3番。「普通ならパーを取りにいきすぎて、ダボを打っているところ」。アドレスが取れないため左打ちでフェアウエーに出し、残り190ヤードの第3打を6番アイアンでピンそばまで運んでパーを拾った。「スイッチヒッターですね。大和は阪神を出ちゃうかもしれないのに…」。大の虎党らしく、国内FA権を取得したプロ野球阪神の大和内野手を引き合いに出して笑わせた。

 阪神がクライマックスシリーズのファーストステージで敗れ、意気消沈していた25歳に訪れた大きなチャンス。悲願の初優勝なら、ショック払拭(ふっしょく)には十分すぎる。