松山英樹(26=LEXUS)は1イーグル、6バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの66で回り、通算4アンダーの276で35位だった。

 ドライバーを左に曲げた4番で4オン2パットのダブルボギーが先行。すぐに連続バーディーで取り返したが、7番でティーショットをミスした時にはいら立ちを隠せなかった。「4番と7番(のティーショット)は特に、すごく腹が立ちました」と正直に振り返る。

 パープレーで折り返した後半11番、ビッグプレーが飛び出した。ティーグラウンドが前に出て、294ヤードと1オン可能な設定になった11番パー4。ドライバーを振り抜いてピン横6メートル弱に運び、これを沈めてイーグル。カップから拾い上げたボールはロープ際で観戦していたギャラリーの少年に手渡し、笑顔もこぼれた。「だいぶ楽になりました」。18番では残り165ヤードから8番アイアンでピンそば1メートルに絡めるバーディーフィニッシュ。「久々にいいアイアンショットが打てました」と納得の1打だった。

 試行錯誤を重ねた1週間だった。ショット直前、バックスイング方向に上げた手元を1度減速、さらに胸の高さまで上げてから戻し、スイングに入る新たなルーティン。体の動き、クラブの軌道にズレがないかを丁寧に確認してからショットに移行する一連の作業を練習場でも繰り返したが、日を追うごとにバックスイング方向に上げる角度は低くなった。重心を低く落として構えるなど、マイナーチェンジも見受けられた。「悪いところがメインになってしまいますけど、いいところも少なからずありました。また試合でやってみて、徐々に徐々に、良くなっていけばいい」と言った。

 模索しながら4日間を戦い抜いても、充実とはほど遠い。最終18番、グリーン脇にあるリーダーボードは、上位陣のスコアが白いまま。優勝争いに備える選手たちが練習している頃、松山の今季メジャー最終戦は終わった。「やっぱり、こんなところで回っていたくないですし、どうせ(予選を)通るなら(上位で)今くらいの時間にスタートしたい。今、それができないのはすごく悔しい」。1打差の2位で迎えた昨年大会最終日は最終組の1つ前を回っていた。かけ離れた現実をかみしめた。

 次週は2年ぶりにレギュラーシーズン最終戦のウィンダム選手権(ノースカロライナ州)にエントリー。ポイントランクは88位と低迷し、ツアー選手権(ジョージア州)まで進めるトップ30入りには、今後のポイント上積みが必須となる。松山は過去4年連続で最終戦まで残り、翌年のマスターズ、全米オープン、全英オープンの出場権を早々に確保してきた。

 「来年のメジャーに出るための資格が、まだ何もない。しっかりとフェデックスカップ(プレーオフ)で30位に入れるように。だいぶ順位が下なので、残りの試合で頑張りたいと思います」。世界ランクを考えればメジャー切符を心配する立場ではないが、現状に甘んじるわけにはいかない。プレーオフ第3戦のBMW選手権(ペンシルベニア州)まで6連戦の覚悟を固め「相当疲れている」という体で懸命にスパートをかける。