アン・ソンジュ(31=韓国)が今季5勝となるツアー通算28勝目を挙げ、史上最速で生涯獲得賞金10億円を突破した。226試合で突破し、不動裕理の275試合を抜いた。この日は首位から出て74とスコアを落としたものの、通算12アンダーの276で逃げ切った。トップに立つ賞金ランクも2位に約3622万円差をつけ、4年ぶり4度目の賞金女王へ大きく前進した。

勝利の瞬間はうつむき加減だった。日本ツアー参戦9年目となるアンは、グリーンの芝を見つめながらジッと涙をこらえていた。不動裕理の持つ最速記録を破り、226試合目での10億円突破。史上5人目の快挙に、キム・ハヌルから抱きつかれ「泣く?」とささやかれると、こらえていた涙がとめどなくあふれた。

「ハヌルとハグして、頭に(これまでの苦労が)出てきた。10億は今まで頑張ってきたから。自分を褒めてあげたい。今日のプレーは褒められないけれどね」

前日の第3ラウンド終了時点で、2位菊地と5打差、3位松田と6打差あった。優勝は確実と思われたが4、7番でボギー。9番パー4ではバンカーにはまって4オン2パットのダブルボギー。松田に1打差に迫られ「勝てないかも」と、生みの苦しみを味わった。

「前夜は寝ていない。食べるのが大好きな私が、朝ご飯も食べられなかった」

韓国で7勝、大会前まで日本で27勝の実力者でさえ、独走態勢に入っても重圧があった。賞金ランクで2位に約3622万円差をつけ、4年ぶりの賞金女王に大きく前進しても「74、74…。オーバーパーで優勝か」と漏らしつつ「もう1勝したい」と気持ちを切り替えた。【益子浩一】