日本一のショットメーカーが、世界に打って出る。小田孔明(36=フリー)は14年、初の国内男子ツアー賞金王に輝いた。これで今年7月の全英オープン選手権への出場権を獲得。4月のマスターズ・トーナメントにも、賞金王の実績を評価されて招待される可能性もある。世界ランク上位で6月の全米オープン選手権、8月の全米プロ選手権に出場できるチャンスも十分。海外メジャー4大会を通して、パワフルなショットが世界に通用することを実証する。

 昨年12月7日。日本シリーズJT杯最終ラウンド終了後、初の賞金王を決めた小田孔は会見に臨んでいた。「まだ実感はない」と話す一方で、視線は早くも先に向いていた。「全英オープン選手権に出られるのはうれしい。セントアンドルーズ開催ですし。マスターズのチャンスもある」。世界最高峰の舞台で戦う未来を思ってか、言葉にも熱がこもった。

 世界で戦う足掛かりは、世界での戦いで得ていた。昨年7月の全英オープン選手権。小田孔は第1日に69をマークし、海外メジャー5度目の挑戦で初の予選通過を果たした。さらには最終日、ショットをピンに絡め続け、全選手最多の8バーディーを挙げた。オレのショットは、世界に通用する-。ひそかに抱いていた自信が、確信に変わった。

 8月の全米プロ選手権でも予選を通過した。「海外メジャーでやれると感じたことは大きかった。あれがなければ、賞金王にもなれなかった」。ミケルソンら世界トップ選手のプレーをみて、自信のあったロングアイアンの精度をさらに磨く必要を感じるなど、刺激も受けた。帰国後は嫌いだった走り込みにも着手。「世界」を見据えた助走は、賞金王獲得のはるか前に始まっていた。

 高い目標を掲げる必要性は、父であり師である憲翁さん(70)の説くところだった。「350ヤード飛ばすと言っていないと、300ヤードも飛ばせない」。マスターズなどメジャー4大会に出場し、上位を目指す。一方で国内ツアーでも最多勝での賞金王の防衛と、念願の日本オープン選手権優勝も狙う。「賞金王になって、気がゆるんではダメになる」と意気軒高だ。

 「遼とか英樹の20代が海外で活躍して、藤田さんたち40代が国内ツアーを引っ張ってきた。オレたち30代が頑張れば、ゴルフ界はもっと盛り上がると思う」とうなずく。メジャーで活躍すれば、ゴルフファン以外にも「孔明」の名前が広がることになる。

 名前の由来である中国伝説の軍師、諸葛亮孔明は説いた。「学ぶことで才能は開花する」。「志がなければ、学問の完成はない」。小田孔も世界の舞台に向けて、今年も志高く、己を磨き続ける。【塩畑大輔】