<男子ゴルフ:パナソニックオープン>◇最終日◇28日◇大阪・茨木CC西C(7040ヤード、パー70)◇賞金総額2億円(優勝4000万円)

 谷原秀人(29=フリー)が今季2勝目を挙げ、賞金ランク1位に浮上した。首位タイからスタートし、66をマークして通算16アンダーの264、前週優勝の矢野東(31)を1打差で振り切った。7月に婚姻届を出した絢香夫人(26)が見守る中、待望の結婚後初Vでツアー通算8勝目。国内最高の優勝賞金4000万円を加算し、賞金王レースのトップに立った。

 両腕を上げた夫が、笑顔で妻に歩み寄った。7月8日の婚姻届提出から83日目、7試合目の結婚後初優勝。谷原は涙ぐむ絢香夫人にウイニングボールをそっと手渡し、抱き合った。

 谷原

 「絶対に投げないで」って言われていたので。忘れないで渡しました。頑張って応援してくれるし、結婚して勝てなくなったと言われたくなかったし、相当うれしい!

 いつも笑顔で「ヒデたん」と呼ぶ妻の前で、強い夫の姿を見せた。「最大のキーでした」と言う15番パー4。球の後方約10センチにアゴが迫り、グリーンをとらえるのも難しい20ヤードのバンカーショット。サンドウエッジを短く持ってクリーンに打つと、球はピンに当たって5メートルへ。執念でパーパットも決めた。

 独身時代は矢野、平塚ら仲良しグループと連夜の飲み会、1升瓶の焼酎を5本以上空けたこともあった。「午前様」も珍しくなかった。結婚後は全試合観戦し1打1打メモを取ってくれる妻との食事が日課になった。「バカ飲みしたら怒られますから。そのへんがいい効果ですね」。前夜は午後9時に寝た。体調万全でこの日に備えていた。

 国内最高の優勝賞金4000万円を獲得し、賞金ランクも1位に浮上。米ツアー再挑戦を目指し12月の最終予選会に参戦予定だが、優先順位は「初の賞金王」の方が上だ。「日本タイトルもまだないし、最低でもあと1勝したい」。06年には8月にランク1位になりながら、9月以降は背筋痛などに苦しみ、片山に逆転を許している。今季こそ賞金王になって、夫婦で来年のマスターズへ。ラブパワー全開で夢をつかみに行くつもりだ。【木村有三】