<男子ゴルフ:ロイヤル・トロフィー>◇初日◇9日◇タイ・アマタ・スプリングCC(パー72)

 【バンコク9日=阿部健吾】遼クン、ほろ苦い「世界デビュー戦」-。石川遼(17=パナソニック)は谷口徹(40)と組んだフォアサムのマッチプレーで、99年全英オープン覇者のポール・ローリー組と対戦した。不慣れなダブルスで、団体戦の気負いと緊張からドライバーが安定せず、13番のティーショットを池に入れるなど重要な場面でミスが続いた。1アップで迎えた14番から3連続で奪われ、2アンド1で逆転負け。初日は3勝1敗のアジアチームで、唯一の黒星となった。

 17番で欧州チーム・ローリーのパーパットが決まると、石川は悔しそうな表情で帽子を取って、歩み寄っていった。「相当悔しいです。この悔しさを明日にぶつけていきたい」。雪辱を誓い、唇をかんだ。

 本格的な世界デビュー戦で、ほとんど経験がないダブルスでのマッチプレー。ジュニア時代から海外でのプレーは経験しているが、日本のプロの代表として、アジア代表としてのプレーに、これまでにはない緊張感に襲われたという。「緊張の種類が違った。重みがあって初めて感じる緊張だった」。

 そんな心の動きはスイングに影響する。1アップで迎えた13番で、ティーショットを右側の池に入れた。打った瞬間から右に飛び、谷口徹から「スイングが違っているぞ」と指摘をされるほど乱れていた。昨年末に尾崎将から特訓を受け、野球の打撃を生かしたスイングに開眼。年明けから勇気を持ってドライバーショットに改良を加え「手応えがある」と楽しみにしていた。このホールは引き分けで済んだが「相手に流れがいってしまった」と、石川にとっては痛恨の一打だった。

 スイングを立て直して臨んだ15番の第1打は325ヤードのビッグドライブとなったが、手放してしまった流れは簡単には戻ってこない。14番から3ホール連続で奪われて勝負の行方はほぼ決まった。15番では約5メートルのバーディーパットを外したのに対し、ローリーは約4メートルをきっちりと沈めた。「勝負どころできっちり決めてくる。やはりすごいと思いました」。メジャー覇者の勝負どころの集中力を見せつけられた。

 2日目は再び谷口と組んでローリー組と対決することになった。「緊張とはいい感じでつきあっていくしかないですね」。同じダブルスでも初日とは違って、2人のいい方のスコアを採用する方式。本来のスイングで攻めのゴルフを展開していくつもりだ。