日本ゴルフ界の第一人者、尾崎将司(63=マックス・インターナショナル)の世界殿堂入りが28日までに内定した。日本人選手の殿堂入りは03年樋口久子、04年青木功、05年岡本綾子に続いて5年ぶり4人目。近日中に正式発表される。プロ野球選手から転向した尾崎は70年のプロ合格後、圧倒的な飛距離を武器に勝利を重ねて日本にゴルフブームを巻き起こした。国内外で挙げた113勝が評価され、ゴルファー最高の「勲章」が決定。尾崎は30日、愛知・三好CC西Cで開幕するコカ・コーラ東海に出場する。

 昭和の後半から日本にゴルフ人気を定着させた最大の功労者が、世界殿堂入りする。300ヤードを超えるドライバー飛距離を武器に、国内外のファンを魅了してきた“ジャンボ”が、帝王ニクラウスや新帝王ワトソンら世界のスターが名を連ねる殿堂メンバーに、新たに加わることになった。日本人男子選手では青木功に次いで2人目、日本人選手としても樋口久子、岡本綾子に続く史上4人目の快挙だ。ツアー関係者は「これで男女2人ずつ、日本の代表的なゴルファーが殿堂入りすることになる。ゴルフ界にとって喜ばしいこと」と歓迎した。

 世界殿堂とは、ゴルフ界において顕著な活動をした選手や、ゴルフの発展に大きく貢献した人物の功績をたたえるために作られた組織。選出は、世界に数百人いると推定されるジャーナリスト、有識者らの投票によって行われる。候補者は、米ツアー部門や米女子ツアー部門、国際部門、生涯業績部門など各部門でリストアップされ、投票総数の65%以上の獲得が殿堂入りの条件になっている。

 尾崎は、過去に何度も国際部門の候補者リストに入っていた。だが、03年は得票率35%で落選した。06年は得票率トップにもかかわらず、46%だったため殿堂入りを逃していた。今年は関係者が「今回入らなければ、もうないのでは」と予想していた事実上の“ラストチャンス”だった。得票率はまだ明らかになっていないが、国内外で挙げた通算113個の勝ち星と、極東の島国・日本にゴルフトーナメントを根付かせた功績がようやく評価された形だ。

 63歳になった尾崎にとっては久々の明るい話題になった。05年には約16億円まで債務が増えて民事再生手続きを申し立て、ツアーでも持病の座骨神経痛の影響で06年以降は賞金ランク100位台と低迷していた。今季も14試合で予選通過は2度。先週のパナソニックオープンまで9試合連続予選落ちが続いている。

 だが、ツアー通算94勝、26億円を超える生涯獲得賞金は他の追随を許さない。石川遼や池田勇太からは今も「ジャンボさん」と慕われる。30日に開幕するコカ・コーラ東海は73、77年と2度制している大会。29日は腰痛治療のためぶっつけ本番になるが、世界殿堂入りした技を名古屋のファンに披露する。