プロ野球・西武の工藤公康投手(47)の長女遥加(17=日出高3年)がツアーデビューを果たす。国内メジャーの日本女子オープンは30日、茨城・大利根CCで開幕する。本格的にゴルフを始めてからわずか2年半で、国内最高峰の予選を通過。29日はコースに駆けつけた父が見守る中、日没まで練習を続けた。西武の来季戦力構想から外れた父は、現役続行を目指し、遥加自身も11月にプロテストが控える。親子プロの夢を実現するため、デビュー戦で勢いをつける。

 豪快なショットは楽々と250ヤードを超えていった。現役最年長の名投手を父に持つ工藤は、ツアーデビュー戦の日本女子オープンに備え、黙々とドライバーを振り続けた。171センチの長身と頑丈な下半身に父の姿が重なる。夕闇迫るアプローチ練習中には父も合流した。

 非凡な運動能力を父から受け継いだ。高校1年から本格的にゴルフを開始すると、すぐに70台のスコアをマーク。ジュニア大会で頭角を現した。6月の日本女子アマではベスト32。7月には日本最高峰の今大会の出場権を得た。「予選通過が目標。プロの技を盗んで、今後につなげたい」と抱負を口にした。

 通算224勝の父の後ろ姿を見てきた。「プロ選手は厳しくつらいけど、人に夢を与えられる」。中学校2年からは父の米アリゾナの自主トレに同行。以降は食事にもこだわる父流のトレーニングを続けた。現在も70台を出す父の教えを受け、毎日7時間の練習をこなしている。

 もう1つ、プロを目指す大きな動機もある。「プロになって優勝して、アフリカの子供たちに寄付をしたいんです」。インターナショナルスクールに通っていた中学校時代、同級生のカンボジア人から厳しい経済状況の話を聞いた。「衝撃を受けた。何をすれば貧しい国を助けられるか。わたしの場合はそれがゴルフだった」と明かした。

 この日、日が暮れるまで練習を見守った父から「気負わず、自分を信じて楽しめ」と励まされた。47歳になった父は、西武の来季構想から外れているが、現役続行を決断している。「現役を続けてほしい。一緒にトレーニングをして、お互いを高め合いたい。わたしのモチベーションはお父さんだから」。自身も11月にはプロテスト1次予選会を控える。「明日は頑張れそうです」。来年の親子プロ実現のためにも、ツアーデビュー戦で自信をつける。【田口潤】