<男子ゴルフ:日本ツアー選手権シティ杯宍戸>◇3日目◇4日◇茨城・宍戸ヒルズCC(7317ヤード、パー71)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)

 丸山大輔(40=アイテック)が2バーディー、ノーボギーの2アンダー69で回り、通算3アンダーの210で首位と1打差の2位につけた。3日間でアンダーパー8人の難コースに強風が重なったが、我慢のゴルフで順位を上げた。東日本大震災で被害を受けた千葉・浦安市在住で、公園に生活用水をくみに行く日々を経験。粘りのゴルフで開催地茨城や東北にエールを送る。山下和宏(37)が69でまとめ、通算4アンダーの209で単独首位に立った。

 最大のピンチも、粘り強く乗り切った。14番パー4。丸山大は4メートルのパーパットを、大きくフックする下りの難しいラインを読み切りねじ込んだ。「どうしても落とせないと思った」。被災地茨城のファンからも歓声が上がった。周囲がスコアを崩す中、矢野と2人だけのノーボギーのラウンド。「簡単にあきらめちゃいけないと思うようになったから」と言う。

 東日本大震災当日、都内で帰宅難民の列に巻き込まれ、乗用車の中で夜を過ごした。翌朝浦安市に戻ると、液状化の泥が乾いた砂ぼこりが舞い、地盤沈下でマンホールが1メートル以上飛び出していた。風呂に入ると妻にしかられた。断水直前にためた生活用水だった。

 水が出る公園を求め浦安市内を歩き回り、ポリタンクで自宅に持ち帰る生活が1週間以上続いた。「普通にゴルフをできるありがたみが分かった」。もともとしぶとさに定評があったが「あきらめない気持ち」は以前にも増して強くなった。

 「東北や茨城の人のほうがずっと大変。それに僕はゴルフを通して応援することしかできません」。初のメジャー制覇を目指す粘りのプレーが被災地への無言のエールだ。【塩畑大輔】