賞金ランク2位の有村智恵(23=日本ヒューレット・パッカード)の逆転賞金女王に黄色信号がともった。国内メジャー第2戦、日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯は今日8日、千葉・キングフィールズGCで開幕する。有村は左手首の三角繊維軟骨複合体(TFCC)損傷のため、7日のプロアマ戦を直前に涙のキャンセル。欠場を決めた。

 プロアマ戦はギリギリまで出場に意欲を見せたが、スタート時間の15分前に断念。「やろうと思えばプレーできるが、どうなるか分からないから…」と悔し涙を見せた。今季2勝目を挙げた3週前のCATレディースから左手首に違和感があった。前週ゴルフ5レディスも欠場。この1週間はクラブを握らず、治療に努めていた。

 診察結果は左手首のTFCC損傷。TFCCはひざの半月板のように、手首の衝撃を和らげるクッションの役目を果たす。手首を使うゴルフ選手にとっては職業病ともいえ、逆の右手首にも軽い症状が出ているという。主治医から「休んで治る人もいれば、治らない人もいる」と言われた。全治は不明で慎重な治療、経過観察が必要になる。

 現在、賞金ランク1位のアン・ソンジュに約900万円差の2位。逆転による初の賞金女王獲得も期待されていた。「(けがは)様子を見ないと分からない。休んでいい方向にいけば…」。最悪、手術となれば完治まで数カ月がかかる。かつて同じ症状を訴えた大相撲の元横綱武蔵丸は手術後に引退に追い込まれている。勢いに乗っていた日本人エースが一転、窮地に陥った。【田口潤】

 ◆TFCC(三角繊維軟骨複合体)損傷

 腕には橈骨(とうこつ)と尺骨という細長い骨がある。この尺骨の手関節部分の突起の周囲に、手首の衝撃を和らげる役目をするTFCCという組織がある。このTFCCが損傷し、手首の小指側に痛みの出る疾患。手関節を内側、外側にひねると痛みが出る。ゴルフ、テニス、バドミントンなど、手首を使う選手に発症するケースが多い。初期治療は安静が第一で、サポーター、ギプスで固定する。3カ月過ぎても改善されない場合、手術が必要になる。

 ◆有村智恵(ありむら・ちえ)1987年(昭62)11月22日、熊本県生まれ。10歳の時に父の勧めでゴルフを始め、九州学院中で日本ジュニア、全国中学選手権を制覇。東北高に進み、宮里藍の2年後輩に。06年プロテストにトップ合格。07年賞金ランク13位でシード権獲得、08年プロミスレディスで初優勝。09年は5勝で賞金ランク3位。昨季は1勝で同ランク6位。今季2勝でツアー通算9勝。7月スタンレーレディスではアルバトロス、ホールインワンを同時達成。159センチ、57キロ。