<男子ゴルフ:ANAオープン>◇最終日◇18日◇北海道・札幌GC輪厚C(7063ヤード、パー72)賞金総額1億1000万円(優勝2200万円)

 首位で出た16歳アマ伊藤誠道(杉並学院高1年)は1バーディー、3ボギーの74とスコアを落とし、通算10アンダー278の6位に終わった。それでもツアー自己最高成績で手応えを得て、試合後には29日からシンガポールで行われるアジアアマ選手権での優勝を宣言。昨年の松山英樹(東北福祉大2年)に続き、優勝で得られるマスターズ出場権獲得も狙う。来日2年目のカート・バーンズ(30=アクシネット)が通算13アンダーでツアー初優勝を果たした。

 少年は北の大地で大志を抱いた。6位フィニッシュ直後の記者会見。「アジアアマで優勝を狙います!」と宣言した。

 伊藤

 去年はアジアアマに出ただけで、すごいところに来たという感じでした。その時は言うだけなら簡単だから「目標は優勝」と言ったんですけど、今年は有言実行を目指します。

 言葉に力がこもったのは、プロに交じっての健闘で、これまでにない手応えを得たからだった。昨年の三井住友VISA太平洋マスターズでも10位に入ったが「あの時は地に足がつかないままやっていて結果的に10位に入った。今回は自分のゴルフをきちんとできた」と今回との差を語る。

 実際今大会は、07年に高1でツアーVを果たした当時の石川遼でもできなかった「2日連続首位」「最終日最終組」を実現。最終日も前半ボギーが2つ先行しながら、10番パー4でバーディー。再び優勝戦線に顔を出した。「今日は雨でランが出ないので、飛距離で劣る自分にはきつかったけど、何とか耐えた」。しぶといパーセーブで終盤まで優勝争いを引っ張った。

 内藤雄士コーチの門下で浅地らのトップアマだけでなく、矢野東らプロとも練習を共にした。メンタルトレーナーの指導も受け、無理にバーディーを狙わない大人の試合運びも身に付けた。そして今回、ホールアウト直後に同組の小田孔から「この経験を生かして頑張れ」と声を掛けられた。

 「アジアアマからキヤノンオープン、日本オープンと連戦ですけど、全部上位に入りたい」と伊藤。昨年大学1年生の松山がたどった「アジアアマ優勝」「日本オープンでの優勝争い」そして「マスターズ最優秀アマ」という道筋を、今度は高校1年生が歩もうとしている。【塩畑大輔】