<米男子ゴルフ:マスターズ>◇最終日◇8日◇米ジョージア州オーガスタナショナルGC(7435ヤード、パー72)

 27位と好位置で最終日に臨んだ東北福祉大3年の松山英樹(20)が、1バーディー、7ボギー、1ダブルボギーの80と崩れ、通算9オーバー297の54位に終わった。目標としていた次回シード権を確保できる16位以内だけでなく、確実とみられた2年連続のローアマ(最優秀アマ)獲得もならず。ホールアウト後は珍しく号泣した。

 涙があふれて、どうしようもなかった。ホールアウト後。取材対応を始めようとした松山だが、見る見る目に涙がたまり、言葉も詰まってコメントできなくなった。「ちょっと…すいません」。取材の輪から離れて、必死に目をぬぐったが、ついにおえつをこらえきれなくなった。仕方なく、いったんロッカールームに姿を消した。

 3分後。東北福祉大の阿部監督に伴われ、目を腫らした松山が口を開いた。「自信があったパットでやってしまった」。初日からバーディーを挙げていた得意の1番パー4で、3メートルのパーパットを外した。

 「あそこでパットがまずいという不安を持った」。いつもより寄せなければという強迫観念から、アプローチも不安定になった。5番パー4ではベタピンを狙うあまり、バンカー脱出に失敗し、ダブルボギーとしてしまった。

 実は違和感は前夜からあった。第3ラウンドの14番パー4で外した、バーディーパットの感触が非常に悪かった。その夜、宿舎ではずっとパターを手から離さず「なんかうまくストロークできない」と不安を口にし続けていた。

 初出場の昨年はローアマに輝いた。再びマスターズに戻って来るため、昨年のアジアアマで連覇を果たした。首位で迎えた16番で「手がしびれて動かなくなった」という重圧を乗り越え、手にしたキップ。それだけに、何とか来年の出場権を得られる16位以内に入りたいと、半年かけて入念に調整してきた。

 「プロの試合にも出させてもらったし、いい練習もしてきた。3日目まではショットもパットもうまくいっていた」。手応えがあった分、生命線のパットから崩れる展開が悔しかった。

 松山は「今日から反省して、パットの練習をしっかりやりたい。そしてまたここに戻ってきたい」と涙が乾いた目を上げた。阿部監督とともに「まだプロにはならない」と明言する。次回は大学生として最後のマスターズ。今回の教訓を胸に、プロ人生につながる大会にする。【塩畑大輔】