<男子ゴルフ:ミズノオープン>◇第3日◇29日◇岡山・JFE瀬戸内海GC(7404ヤード、パー72)◇賞金総額1億1000万円(優勝2200万円)

 今季正念場の星野英正(35=フリー)が、ハーフ自己ベストの29を出すなど65の猛チャージで、通算12アンダーで首位と3打差3位に急浮上した。08年以来優勝から遠ざかる東北福祉大出身のベテランは、獲得した5年シード権は今季がその最終年。アレルギーや腰痛に悩まされて不振を極めていたが、逆転での復活優勝を射程圏にとらえた。

 星野は出足のバーディーで勢いをつけ、続く2番パー5。第3打のラフからのアプローチ、58度のサンドウエッジで絶妙のタッチを出すと、カップに吸い込まれるイーグルを決めた。東北福祉大から「アマ52冠」をひっさげて、00年にデビューした超逸材の片りんが垣間見えた。

 5番からは次々にフェアウエーをとらえ、ショートアイアンでピンに寄せるなど4連続バーディー。アウトは7アンダーの29で、自己ベストの“30切り”だった。10番もバーディーを取った後に「どうなるんだろう」と緊張して、チャージは止まった。しかし「イメージだけして構えれば、その通りに打てた」という会心のラウンド。7アンダー65で通算12アンダー、18位から首位に3打差3位まで躍進した。

 今や東北福祉大と言えば、松山英樹。「あいつはすごい。体つきも世界に通用する」と大先輩も一目置くが、十数年前の天才アマと言えば星野だった。08年に日本ツアー選手権に優勝し、ツアー3勝目。それで09年から5年シードの権利は得たが、アレルギー症状や腰痛で悩んで低迷。昨年は約600万円しか稼げず、賞金ランク96位まで落ち込んだ。ゴルフを職業とするのに「芝アレルギー」もあり、今も薬を飲んでいるという。

 そのシード権も今季が最終年。正念場を迎えた星野は一念発起した。今年1月から練習する兵庫・六甲国際GCにある「江連アカデミー」の前田純一コーチ(37)と二人三脚でスイング改造に取り組んだ。神戸から大阪・岸和田市にある「Nクリニック」に通い、スイングの筋肉のバランスをよくするトレーニングにも励んだ。軸がぶれない、しなやかなスイングがよみがえってきた。「全英にも行きたいし、賞金も稼ぎたい」。通算4勝目へ、寡黙な男がはっきりと口にした。【町野直人】

 ◆星野英正(ほしの・ひでまさ)1977年(昭52)9月19日、宮城県生まれ。13歳でゴルフを始める。東北福祉大出身で、日本アマチュア選手権を3度取るなどアマ52冠。00年プロ転向し、08年日本ツアー選手権宍戸ヒルズでツアー3勝目。02~09年までシード権を保持も、10、12年(11年は賞金ランク53位で1度奪還)と獲得賞金でのシード権を逃した。得意クラブは「すべて」というオールラウンダー。180センチ、70キロ。