<ゴルフ:女子プロテスト>◇初日◇30日◇兵庫・美奈木GC(6404ヤード、パー72)◇出場116人

 元明大野球部投手の小林千紘(31=スリーハンドレッドC)が、3オーバーの75で44位につけた。高校時代に最速130キロをマークし「女松坂」と騒がれた異色の経歴の持ち主。最終女子プロテスト進出は2年ぶり2度目で、精神面の成長を自信にして念願のプロゴルファーを目指す。ツアー優勝経験者の成田美寿々(20)が、5アンダーの67で回り単独首位に立った。

 元剛速球投手から女子プロゴルファーへ-。小林の“華麗なる転身物語”が最終章を迎えた。2年ぶり2度目の進出となった最終プロテスト。初日は「ショットがブレていた。反省の方が多い」と言いながら、何とか75で踏みとどまった。合格ラインは54ホール終了時の20位タイ。44位発進は悪くないスタートだ。

 鹿児島・神村学園高時代から注目を浴びていた。当時の最速は130キロ。「女松坂」と呼ばれた。明大野球部では男子と練習に明け暮れ、2年時には神宮のマウンドにも立った。そのころから右肩や肘痛に悩まされたが、ゴルフ転向へ心が傾いたのは、元世界女王アニカ・ソレンスタムが男子ツアーに挑戦するニュースを見たから。「ゴルフって男子とでもやれるのか」と感銘。卒業後にプロゴルファーを目指し始めた。

 転向当初は「300ヤード飛ぶか、隣の隣まで曲がるか」と粗さが目立った。「野球は力でねじ伏せることができる。でもゴルフは頭と体をうまくミックスしないと駄目」。最近になって精神面をコントロールできるようになり、スコアも安定してきた。

 31歳になったが、野球で鍛えた体力に自信はある。「毎年、今年が最後のつもりでやってます」。プロテスト突破へ、あと2日間全力を尽くす。【木村有三】

 ◆小林千紘(こばやし・ちひろ)1982年(昭57)2月20日、栃木・大田原市生まれ。鹿児島・神村学園の女子硬式野球部を経て明大に進学。2年時の01年5月28日に、東大・竹本恵投手と先発で対戦、東京6大学野球リーグ史上初の女性投手対決が実現(3回2安打無失点)。ゴルフは22歳から始める。ベストスコア70。164センチ、64キロ。