<男子ゴルフ:ミズノ・オープン>◇第2日◇29日◇岡山・JFE瀬戸内海GC(7382ヤード、パー72)◇賞金総額1億1000万円(優勝2200万円)

 岩田寛(33=フリー)が4バーディー、1ボギーの69で回り、通算9アンダー135で2日連続首位を守った。硬いグリーンに多くの選手が苦しむ中、冷静で無理のない戦略で着実にスコアを伸ばした。石川、松山も認めるパワー、技術を誇りながら、戦略やメンタルコントロールが至らず、期待されるツアー初勝利が遠かった。昨年の米ツアー予選会への挑戦を機に、我慢のゴルフに開眼。別人のような安定感で、悲願の優勝を目指す。

 前半18番パー5。岩田はドライバーではなく、3番ウッドで第1打を放った。手堅くフェアウエーキープを重ね、100ヤードの第3打を1メートルにつけバーディー。後半も2つ伸ばし、首位で第2ラウンドを終えた。

 「ドライバーを振ればバンカーは越えますけど、今はここって時だけを選んで、アグレッシブに攻める自分がすごく気持ちいい」と笑う。今季5戦でトップ10が4回。誰もが「ヒロシは変わった」と口をそろえる。

 石川、松山らも「あの人はすごく飛ぶしうまい」と認める。しかし08年つるやオープンでは、最終日終盤まで2打差首位も、残り2ホールで無理にピンを攻め、連続ダブルボギーで優勝ならず。その後も無理な攻めに失敗しては、自分への怒りを爆発させての自滅を重ねた。選手仲間からは「5メートル以上も入れまくるけど、熱くなって1メートルから4パットもする」と評されてきた。

 しかし、昨年に米ツアー予選会挑戦を機に、考え方が変わった。「スコアをどうしても落としたくないと思った。ピンに対して狭い方に打つのが好きだったけど、グリーンの広い方を攻めれば、ミスしてもパーは拾える。そういう考えを、初めてするようになった」。完璧にピンに寄るショットのイメージを封印。リスクを計算に入れるようになって、ボギーが激減した。

 1ラウンド当たりダブルボギー以上の数は、昨年の0・4から、今季は0・1に。「地元の練習場では、知らない人からも『キレなきゃいいのに』と言われましたからね(笑い)。そんなに有名なのかと」。脱キレキャラで、大器が本領を発揮しつつある。【塩畑大輔】