ホンダは5日、自動車レースの最高峰F1シリーズから08年をもって撤退すると発表した。福井威夫社長は同日、記者会見し「市場環境の悪化で経営資源の再配分が必要になった」と説明した。本業の自動車事業が低迷しチームを維持する経費負担が経営を圧迫していた。チーム成績の不振もあり、宣伝効果も薄れたと判断した。オートバイレースなどへの参加も縮小する方針だ。F1関連の経費は年間500億円超とみられる。

 金融危機による世界的な景気減速は、大企業の体力を奪うことでスポーツの世界にも影響を及ぼし始めた。大企業はスポーツのほかにも文化活動などを支援しているが、ビジネスに直接関連しないこうした活動の継続を断念するケースが今後増えそうだ。

 02年にF1に参戦したトヨタ自動車は撤退する気は全くないとしている。

 F1ホンダの歴史は、4輪市販車を販売する前に始まった。創業者の故本田宗一郎氏が60年代初頭に参戦を決断。64年に20人ほどのチームで三戦に出走した。80年代に黄金時代を築いた。