ヤクルトの本拠地と学生野球の聖地が、資材と大量のプレハブ小屋で埋まってしまうかもしれない。20年の東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は11日、神宮球場(東京都新宿区)の大会前後の使用中止を要請している件について、ヤクルト球団と東京6大学野球連盟、東京都高野連に事情説明を行った。

 都内にある3団体の事務所を訪れた後、組織委の佐藤広副事務総長は「今日はごあいさつ。具体的なご相談はこれからです」と話した。神宮球場は、大会の主会場になる新国立競技場に隣接している。組織委は、使用中止を要請した20年5月から11月までの用途として、資材などの保管場所に加え、「プレハブ小屋建築」の計画を伝えた。五輪開催にあたり、約1万人ともいわれるボランティアスタッフや係員らの控室が必要となる。12年ロンドン五輪の例を参考に、大量のプレハブをグラウンドに設営することが検討されているという。

 また、関係者によると、組織委は神宮第2球場に関し、神宮球場より4カ月早く20年1月から使用中止の意向がある模様。五輪開催前に行われる陸上競技大会の準備施設として使用される見通し。5月から11月の7カ月ではなく、事実上、年間通じて使用不可能となる可能性も浮上した。

 東都大学野球連盟とも既に話し合いの場を持ち、神宮球場を使用する野球関係4団体全てとファーストコンタクトを終えた。東京6大学野球連盟・内藤雅之事務局長は「今日は(使用中止の)報道が先に出てしまったことについての謝罪があり、具体的な話はしていません。これから、我々(野球)関係4団体と(明治神宮)外苑さんで話をし、交渉していくことになる」と話した。

 ◆神宮球場 1926年(大15)10月、明治神宮外苑に完成した野球場。東京6大学のリーグ戦が行われ、その後、東都大学のリーグ戦も実施。45年11月にはプロ野球の東西対抗戦が開催された。61年には第2球場が建設された。早実(西東京)の清宮幸太郎外野手(2年)が今月2日、今春公式戦初戦の町田戦で高校通算36本目のアーチをかけた舞台は第2球場だった。東京五輪があった64年にプロ野球の国鉄(現ヤクルト)が本拠地とし、現在もヤクルトが使用している。