バドミントンのリオデジャネイロ五輪代表が9日、都内で記者会見を行った。世界での活躍が光る日本勢は、この夏、五輪でどれだけ結果を残せるのか。日刊スポーツ評論家となった08年北京、12年ロンドン五輪代表の池田信太郎氏(35)が代表男女9人の力と、展望を独自の目線で語った。

▼男子シングルス

 佐々木翔(33=トナミ運輸、2大会連続2度目)

北海道生まれのベテランサウスポー。ロンドン五輪で同種目日本人初の8強。桃田賢斗が賭博問題で世界ランキングから外れたことにより、繰り上がって五輪代表に。世界ランク27位。

「1つ1つ積み重ねて、世界との差を縮めていった選手。“努力の人”です。このところロンドン五輪の時ほどパフォーマンスは良くなかったですが、彼はピーキングがうまいので、リオ本戦でうまくいけば、上位の選手にいい勝負ができる可能性があります」

▼女子シングルス

 奥原希望(21=日本ユニシス、初出場)

 両膝のケガを乗り越え、15年ヨネックスジャパンオープンでスーパーシリーズ(SS)初制覇。年間上位8選手が出場する15年SSファイナル、16年全英選手権でも優勝するなどメダル候補の1人。世界ランク5位。

「この1年で技術、メンタルがすごく強くなりました。しかも、さらに進化を続けている。金メダルの可能性は高いですね。ランク上位の選手にすべて勝っていますから。彼女はストロークがうまい。野球でいうと、同じ腕の振りからさまざまな球種が投げられるようなこと。だから小さくても(身長156センチ)相手の足をとめながら、ラリーができるんです」

 

山口茜(18=再春館製薬所、初出場)

 バドミントンがさかんな町、福井県勝山市生まれ。13年ヨネックスジャパンオープンで日本人初優勝を飾り「天才高校生」として注目される。世界ランク11位。

 「彼女が思い描いたようにプレーできたときは、めちゃくちゃ強いです。コートの中で尋常じゃない運動量があり、筋力もある。動きといい、女性離れしたプレーヤーと言えます。海外の選手にとっては1番怖い選手なのでは。表情も変わらず、淡々とやりますし。はまれば、手がつけられないと思います」

▼男子ダブルス

 早川賢一(30)遠藤大由(29=ともに日本ユニシス、初出場)

10年結成。前衛早川、後衛遠藤。ロンドン五輪出場を逃すも、その後力を伸ばし、13、14、16年と3度全英選手権で準優勝。ともに妻子を持つパパコンビ。世界ランク7位。

 「まず早川ですが、前衛の能力が非常に高い。ラリーの優位性を取るためにどんな球をチョイスするか。その引き出しがすごく多いです。一方の遠藤は急に前に出たり、早川が取れない球をカバーしたり、とセオリーで考えられないプレーをします。意外性を追求している。彼らはここぞの勝負に強いので(メダルの)可能性は十分あります」

▼女子ダブルス

 高橋礼華(26)松友美佐紀(24=ともに日本ユニシス、初出場)

 宮城・聖ウルスラ学院在学中の07年に結成し、9年目。前衛松友、後衛高橋。14年SSファイナル、16年全英選手権優勝。通称“タカマツ”。世界ランク1位。

 「金メダル最有力候補です! 2人で攻めて、守る。力を合わせて点を取りにいく能力にたけている。穴がない。今までの日本の女子ダブルスは長いラリーに持ち込む“ど根性ラリー系”が主流でした。それでも世界で勝負はできてはいましたが、圧倒的な攻撃力のある選手に攻め込まれると守れませんでした。しかし、タカマツは攻撃される前に自分たちが攻め、得点まで持っていく力がある。だから中国と対等のポジションまでこられた。不安なのは、世界選手権などの一発勝負でメダルを獲得できていないこと。本番では、いかにプレッシャーに勝てるかがカギですね」

▼混合ダブルス

 数野健太(30)栗原文音(26=ともに日本ユニシス、初出場)

 15年5月の男女国別対抗戦スディルマン杯を機に結成。結成1年で五輪枠に滑り込んだ。世界ランク18位。

 「数野の攻撃力は世界でもトップレベル。でも、なかなかそれを生かせるペアが定まらなかった。他のペアは五輪まで調整の意味合いが強いと思いますが、2人はここからどこまで伸びるかが勝負。攻撃のバリエーションが増えてきたし、栗原の前衛もうまくなってきた。それでも攻守の切り替えはまだまだ。自分たちの攻撃にもっていくための組み立て、そういう技術を磨いていってほしいです」