プロ転向騒動などをきっかけに全日本柔道連盟(全柔連)幹部から厳しい姿勢を示された北京五輪柔道男子100キロ超級金メダルの石井慧(21=国士舘大)が、今後の進路決定を先送りした。7日都内で会見し、現状では柔道界からの引退を意味する強化選手の辞退届を出す意向がないことを強調。大学4年のため、まずは卒業を目指し学業に専念し、並行して、時間をかけて柔道続行かプロ格闘技転向かの結論を出す構えを示した。
疲れ切った表情で石井は口を開いた。「総合格闘技に関しては将来行ってみたいという興味はあるけど、(大学の)卒業で今は頭がいっぱい。これから振り出しに戻ってゆっくり考えていきたいので、少し時間をいただきたいです」。卒業に必要な残り17単位を取得するため学業を優先しながら、進路を熟考していく方針を示した。
五輪後の言動やプロ格闘家転向騒動をもとに、6日に全柔連の吉村強化委員長から、ロンドン五輪に向けた強化の構想から外す趣旨の発言を投げかけられた。「この前から自分は来年の世界選手権とかに出ないで休みながらやるとか言ってたし、柔道が(国際ランクを定める)ポイント制になってきたので、来年の世界選手権とかに出なかったらポイントがたまらない。自然とロンドンがなくなるという話になる。自分もそう思います」。状況は理解している。それでも、プロ格闘技に転向するために必要な柔道界からの事実上の引退を意味する強化選手辞退届の提出は「全然、今は考えていない」。ロンドン五輪へ向けた選択肢は捨てていない。
ロンドンを目指しつつ、「30歳かもしれないし、それ(時期)は分からない」というプロ格闘技転向を見据えた練習も行う「両立」を模索してきた。この日はそれには触れず「卒業をまずして、それから自分がやりたいことを、振り出しに戻って、柔道が本当にやりたいことかも考えてみようと思う」と話した。
これまでの奔放な言動に対する批判が根強いだけに「今後、気をつけて直していくところは直していきたい」と殊勝に話した五輪王者。一連の騒動で被った精神的な疲労、5日の世界団体選手権欠場の原因となった股(こ)関節の故障の治癒、そして学業に努めつつ、慎重に柔道かプロ格闘技かの二者択一の選択を行うことになる。【菅家大輔】


