<フィギュアスケート:GPファイナル>◇最終日◇13日◇韓国・高陽

 日本人男子のGPファイナル初優勝ならずも、収穫の表彰台だ。ショートプログラム(SP)首位で臨んだ小塚崇彦(19=トヨタ自動車)はフリーで140・73点、合計224・63点で2位に終わった。終盤のジャンプで2度転倒し、SP2位のアボット(米国)に逆転された。それでも、4回転に挑戦するなど果敢に攻めて、日本人男子として06、07年の高橋大輔に並ぶGPファイナル最高位。バンクーバー五輪に向けて、大きな一歩となった。

 最後のジャンプとなる3回転ルッツを成功させると、超満員の観衆からひときわ大きな拍手がわき起こった。小塚が得意の高速スピンで最後に決めポーズをつくると、大歓声が待っていた。客席からは花束やプレゼントが山のように投げ込まれた。頂点には立てなかったが、観衆の心に響く演技だった。

 「まず悔しいというのが…。1位になれなかったというより、今までにミスしていなかったジャンプでミスしたことが…。すごく緊張感があった」。疲労がたまった中で跳んだ終盤の3回転ループ、3回転半は立て続けに転倒した。それでも投げ出さなかった。初めて出場したGPファイナルで、フリーの最終滑走という大役にも、最後まで堂々と演じた。

 逃げなかった。SP首位で迎え、成功率の低い冒頭の4回転トーループを回避する、安全策に出る手段もあった。だが、小塚は跳んだ。GPシリーズ2戦ではともに豪快に転倒した、練習でも成功率20%程度のジャンプは、バランスを崩しながらも着氷した。「4回転を降りたという、いつもやっていないことができた分、プレッシャーが出てきちゃったのかも」と、苦笑いで振り返った。それでも「4回転を入れない演技構成は考えていなかった」と後悔はしていなかった。

 全日本選手権では昨年の2位が最高で、まだ日本一になったことはない。それが一気に、世界一を争う舞台に立った。しかも初日を終えて、最も世界一に近づいた。日本人男子初のジュニアGPファイナル優勝は経験したが、これまでと周囲のレベルも、大会規模も違う。

 「今季の開幕時点では2位は考えもしなかった結果。まだ19歳だし。最終滑走で滑ることができたし、今後のためにも良かった」。GPファイナルでは高橋に並ぶ日本人男子最高位に入り、来年の世界選手権(3月、米ロサンゼルス)の代表選考において推薦対象となる条件は満たした。わずか1年前にはまるで見えなかった10年バンクーバー五輪が、今ははっきりと見えるようになった。