<バスケットボール:全日本総合選手権>◇3日◇女子3回戦◇東京体育館

 わずかの差で「W」の壁を越えられなかった。皇后杯で初めて3回戦に進出した山形銀行が、女子日本リーグWリーグ4位のデンソーアイリス(愛知)に挑戦し、63-69で敗れた。第1クオーター(Q)は17-10でリード。普段は銀行の窓口や営業で働く集団が、両チーム最多28得点のセンター(C)渡辺千尋(22)にボールを集めて格上を脅かしたが、最後に力尽きた。

 「W」相手でも、1歩も引かなかった。序盤からC渡辺千を中心に攻めて第3Qまでシーソーゲームを繰り返しながら3点リード。最終Qに日本最高峰リーグの意地で追いつかれ、引き離された。28得点16リバウンドの活躍でゴール下を支配した渡辺千は「悔しいけど、自分たちがやってきたことは間違いじゃなかった」。健闘をたたえ合ううちに涙は笑みに変わった。

 昨年4月、元日本代表の山田かがりヘッドコーチ(HC=36)が就任して急成長。今大会は1回戦で高校覇者の桜花学園(愛知)、2回戦で大学選手権3位の武庫川女大(兵庫)を下してチーム初の3回戦に進出した。金星は逃したが、山田HCが「最悪、20点差の負けも覚悟した」試合で実力を全開に発揮した。

 普段は午後3時まで銀行で働いている。窓口で応対に当たり、営業にも出る。1円でも計算が合わない場合、ジャージー姿のまま体育館から銀行に呼び戻される。それでも、小泉里紗主将(26)は「不況下にもかかわらず、専用寮や食事の補助をしてくれる銀行へ恩返ししたい」と奮闘した。

 番狂わせは起こせなかったが、企業チームの健闘は場内を沸かせた。メンバーは5日が仕事始め。デンソーに勝てば同日は準々決勝が待っていたが、まずは日常生活から出直して、来年も同じ舞台に舞い戻る。