<陸上:布勢リレーカーニバル>◇7日◇男女100メートルほか◇鳥取・コカ・コーラウエストスポーツパーク陸上競技場

 女子100メートルで福島千里(20=北海道ハイテクAC)が日本新記録を連発した。午前のレースで11秒28を出して、自身の日本記録(11秒36)を0秒08更新すると、午後のレースでは追い風1・9メートルの好条件を味方に、11秒24の快走でさらに0秒04短縮した。世界選手権(8月、ベルリン)の参加標準記録A(11秒30)も突破したことで、同種目で日本女子史上初めて「A標準突破」→「世界大会出場(五輪含む)」の快挙に前進した。

 仰天の日本新連発だ。日本女子で初めて11秒30の壁を破った第1レースから4時間後。再びゴールを駆け抜けた福島がたたき出したタイムは11秒24。「11秒3台で走ったことも1度しかないので気持ちよく走れた。2本(日本新で)走れたので自信になる」。電光掲示板の前でこの日2度目のガッツポーズをつくった。

 第1レースはスタートで抜群の反応を見せた。1週間前に普段の3倍の1日20本のスタート練習に取り組んだ成果が出た。第2レースも隣のレーンのライバルの高橋萌木子(ももこ)に競り勝った。中村監督は「1レース目はスタートからの加速がよく、2レース目は中盤以降がよかった。今季中に11秒1台までいける」と絶賛した。

 01年7月に11秒36の日本新を樹立した二瓶秀子に続き、同種目で日本人2人目のA標準突破。二瓶は日本代表発表後の記録樹立だったため、同年8月の世界選手権に出場していない。A標準を突破しての世界選手権出場なら史上初となる。25日開幕の日本選手権(広島)で勝てば出場が内定。上位でも代表選出は有力だ。

 昨夏の北京五輪はB標準しか突破していなかったが、将来性を見込まれて代表入り。日本陸連の高野強化委員長は「北京五輪に派遣した1つの成果だと思う」と評価。麻場女子短距離部長は「期待と予感はあった。加速力に磨きがかかり、一気に回転が上がっていく感じだ」と説明した。

 北京五輪で2次予選を突破した選手中、最も遅いタイムは11秒40。単純比較はできないが、今回の11秒24は世界大会で準決勝進出も狙えるタイム。「10秒台に限りなく近づきたい。まずは日本選手権が大事。世界選手権でもしっかり、今回のように走りたい」と福島。165センチの細身の体には、無限の可能性が詰まっている。【大池和幸】