<高校ラグビー:東海大仰星27-12東福岡>◇準決勝◇5日◇花園

 Aシードの東海大仰星(大阪第1)はBシードの東福岡(福岡)に勝利し、7大会ぶり3度目の優勝に王手をかけた。2大会前の東福岡との決勝では、1年生ながら先発出場していたSO山田一平(3年)が大けがを乗り越えて雪辱を果たした。

 東海大仰星のトライを狙うためのインゴールへのキック失敗で、最後の笛が鳴った。後半ロスタイムの2分を過ぎても、ボールを蹴り出さずトライを狙い続けた。最大のライバル東福岡への敬意だった。SO山田一平も、2大会前の決勝で敗れた相手とのリベンジマッチを満喫した。前半6分にキックパスから先制トライを演出。的確な判断力から、相手の手堅い守備を想定してターンオーバーを回避した結果が功を奏した。湯浅大智監督(32)は「判断力や技術は非常に良い選手なので」と絶賛だった。

 2大会前、1年生ながら先発出場したが、24-36で完敗し、日本一を逃した。その試合後、右の前十字靱帯(じんたい)断裂で手術。中学時代にも左右の同靱帯(じんたい)を負傷し、3度目の大けがだった。5歳からラグビーを始め「ラグビーが自分のすべて」。現役時代に左右の同靱帯(じんたい)断裂経験のある父剛志さん(44)の支えもあった。

 手術後、半年間は練習できず、試合に復帰できたのも7カ月後。練習できない期間はトップリーグや大学などの試合の映像を見て、ラグビーを研究した。録画したDVDは100枚以上。「視点を変え、ボールを持っていない人の動きを見た」。本格的にチームに復帰した高校3年時から判断力が格段にアップし、自信をつけた。

 山田一平とともに2大会前の決勝の東福岡戦で敗れたフランカー野中主将とFB野口が中心となり、前日には恒例のシミュレーションを約3時間行って準備した。野中は「シミュレーションの完成度は2大会前より高かった。先輩が残していったものがあったから」。日本一を逃したOBの思いを背負い、借りを返しての決勝進出を果たした。感動を与えるラグビーで日本一に-。1年間目指してきた目標まであと1歩に迫った。【辻敦子】

 ◆山田一平(やまだ・いっぺい)1995年(平7)5月25日、大阪府吹田市生まれ。ラグビーは5歳から吹田ラグビースクールで始める。菫(すみれ)中を経て、同高に進学し、1年時にはSOで花園出場。高校日本代表候補、関学大に進学予定。172センチ、82キロ。