<大相撲秋場所>◇3日目◇16日◇東京・両国国技館

 西前頭3枚目の嘉風(32=尾車)は立ち合いで、新大関豪栄道(28=境川)に押し込まれた。俵に足をかけたが、ここからが「自分らしくない」相撲の始まりだった。

 右に回り込み、俵を伝う。小手投げを食らうも、すんでで踏みとどまる。残しに残すと、無意識のうちに右手が、豪栄道の右太ももを内側からすくっていた。小股すくいで、過去5勝5敗と五分の相手を背中から倒した。

 「残せましたね。大関は『勝負あった』と思ったんじゃないですかね。いつもの自分なら考えられない。残したのが自分らしくない」と苦笑いしつつ「今日負けたら『本当の新大関初白星』と言われそうだから、ちょっとヤダなと思っていた」と、意地を見せた。