横綱審議委員会設置60年で初めて出した「引退勧告書」が、横綱朝青龍(29=高砂)引退の引き金を引いた。これまで数々の問題を起こしてきた横綱に対して、内館前委員ら一部委員から批判は出たが、決議として厳重注意まで。しかし、今回ばかりは「強権」を発動した。

 鶴田卓彦委員長は「今まではわんぱく小僧としてカバーしてきたが、今回は国民目線で見たら、許してはいけない」と厳しく話した。泥酔暴行騒動について、自ら調査。「(相手の)鼻に1ミリの傷があって、ビデオにも写真にも撮ってある。非常に近い人の話なので間違いない」。出席した10人(山田委員は沢村委員に委任)の憤りも同じだった。

 理事会終了後に行われた臨時横審で、武蔵川理事長から朝青龍引退の報告を受けた。「解雇は懲戒免職。引退は会社でいえば依願退社。退職金はあるがそれはいい。相撲に大きく貢献してくれた。この栄誉を不滅のものとするためにも(朝青龍は)退場しなくてはならない」と鶴田委員長。沢村田之助委員は「自分で申し出たことは何より」と話した。「相撲人気は確実に落ちる。相撲協会も厳しい道を歩む」と鶴田委員長。そう分かっていても引退を勧告しなければならないほど、今回の騒動について、横審メンバーの怒り、失望は大きかった。