日本相撲協会が、大相撲春場所(3月13日初日、大阪府立体育会館)を中止する方針を固めたことが5日、分かった。今日6日の臨時理事会で正式決定する。八百長問題を重くとらえ、苦渋の決断にせまられた。本場所の中止は、国技館改修の遅れで開催できなかった1946年(昭21)夏場所以来65年ぶり。問題解明へ長期化が必至で、5月の夏場所開催にまで影響が及ぶ可能性があり、大相撲は前代未聞の非常事態に直面することになった。

 八百長問題の影響で、本場所開催のめどが立たなくなった。日本相撲協会の執行部は、この日までに春場所中止の方針を固めた。今日6日午前11時から東京・両国国技館で行われる臨時理事会で中止を決め、午後2時からの評議員会で報告される見通しとなった。

 理事の1人は「こんな状況で場所を開けば混乱を招くだけで、各方面に迷惑がかかる。協会執行部は決断した。特別調査委の調査次第では5月の夏場所も微妙だと思う」と話した。慎重な意見を示す理事もいたが、八百長疑惑を持たれた14人もの親方、力士に対する特別調査委員会の調査が長期化する点や、社会問題に発展した影響を考慮した。

 本場所の中止は、65年ぶり2度目。前回は戦争で被災した国技館改修の遅延が理由で、約1カ月後に大阪で本場所と同形態の準場所を開催した。今回も準場所や無観客場所の可能性を残すが、不祥事による本場所中止は初めて。野球賭博問題で揺れた昨年以上の非常事態となった。

 調査委は5日に当該の14人からの聴取を終え、前回の理事会と同様に竹縄親方(35=元前頭春日錦)、十両千代白鵬(27=九重)、三段目恵那司(31=入間川)の3人から八百長関与の供述を得た。残り11人は否定し、新たな名前は挙がらなかったという。

 また、親方や力士ら990人の全協会員を対象とした八百長の実態調査アンケートを実施し、979人から回答を得た。膨大な資料の分析に加え、14人から任意提出される携帯電話のメール解析に約2カ月を費やす。会見した伊藤滋座長は「(3日前から)72時間で14人に聞き取るということは、時間切れです」と話し、今回は1回目の中間報告だということを強調した。

 調査が長引けば、夏場所(5月8日初日、東京・両国国技館)にも影響してくる。だが伊藤座長は「関係ない。そっちに関係なく僕たちはきちんと、しつっこくやります。調査の展望が出てくるまで、やります」と徹底的に調べ続ける姿勢を示した。

 調査委は、調査結果を臨時理事会に報告するが、聴取を継続するため、八百長を認めた3人への処分は先送りにされる。最終的には、賞罰規定で最も重く、過去に適用されたことがない除名処分とすることが濃厚だ。問題の根が深ければ、調査はいつまでたっても終わらない。再発防止策を打ち出し、世間の理解を得るまでの道のりは、春場所中止の先の先まで続いている。