横綱白鵬(26=宮城野)に初の内弟子が誕生する。日大相撲部主将の山口雅弘(22)が、宮城野部屋に入門することが23日、分かった。昨年の国体を制し、幕下付け出し15枚目格デビューの資格があり、横綱が口説いて大相撲入りが決まった。稽古場で自ら胸を出し、関取に育て上げる。

 中学、高校とも個人で日本一に輝き、大学4年間で獲得したタイトルは、合計19個。就職場所と言われる今年の春場所では、山口が新弟子の目玉だった。すでに幕下付け出し15枚目からデビューできる大物は、多くの部屋が興味を示す中、選んだ進路は白鵬の宮城野部屋だった。

 昨年12月、全日本選手権の時は「自分を必要としているところで一生懸命やりたい」と話したが、決め手は横綱だった。白鵬自らが熱心に誘ってくれたことで気持ちが固まった。宮城野部屋にとっては10年夏場所で初土俵の香川以来、2年ぶりの新弟子になる。

 白鵬にとっても、本格的に口説いた最初の内弟子になる。番付上、部屋で白鵬に次ぐ上位となり、182センチ、150キロの体格で稽古相手になる。貴乃花に並ぶ22度目の優勝を目指す場所で、刺激材料にもなる。

 宮城野親方(元前頭竹葉山)はかねて、将来的に白鵬に部屋を継承させたい意向を示してきた。日本国籍を取得すれば親方として協会に残ることが可能で、実績上は引退時に一代年寄「白鵬」が認められる可能性が高い。仮に独立することになれば、山口が一番弟子になる。

 新弟子検査は、3月3日。山口が幕下15枚目で7戦全勝優勝すれば、史上最短となる1場所での十両昇進がみえてくる。白鵬は、自分で入門に導いた内弟子を鍛え上げ、部屋の活性化にも一役買うことになる。

 ◆内弟子

 現役力士や部屋付き親方が、将来部屋をおこすことを前提に、所属する部屋に在籍させる弟子のこと。入門の経緯が大きな意味を持つことが多い。