<大相撲夏場所>◇13日目◇18日◇東京・両国国技館

 稀勢の里が1歩目を踏み出す。その時すでに横綱白鵬(27=宮城野)は右の張り差しを決めていた。一気に寄り倒す。今場所は鳴りを潜めていたスピードが戻ってきた。「前日も言ったけど、早い相撲を心掛けた。これが良かった」と振り返った。地力を見せつけるかのように2秒5での決着。中盤までは、捨て身技に逆転負けを喫していた。この日は土俵下に転げ落ちたものの、はっきりと勝ちと分かるもの。速さだけでなく、足の運び、粘り腰も取り戻した証拠だ。

 残り2日、3敗の3人とは対戦がないため、自力優勝は消えている。上位陣が崩れることを待つしかない。「十分(優勝を)目指せるが、難しいのも確か」と置かれている立場は分かっている。だが「今日の一番は大きかった」と、この日の勝利が流れを変えた可能性がある。過去、11日目までに星3つ差をつけられて、逆転した例はない。「絶対に諦めない気持ちがあった」と目つきの鋭さも増してきた。