日本相撲協会は1日、秋場所(14日初日、両国国技館)の新番付を発表した。名古屋場所で2横綱2大関を破る12勝の好成績が評価されて新大関となった豪栄道(28=境川)は、東京・足立区の境川部屋で会見し「優勝が今の目標」と言い切った。新大関で優勝すれば、06年夏場所の白鵬以来、戦後6人目となる。先場所中に痛めた左膝も順調に回復。重圧を感じながらも初優勝への自信に満ちあふれていた。

 豪栄道が左手で番付のしこ名を指さすと、一気に笑顔がはじけた。「ずっと目標にしてきた地位。やっぱりうれしい」。だが、新大関として挑む秋場所の話になると表情は一変。「気楽に取れる地位ではない。プレッシャーはあります。でも、強い気持ちで自信を持って思い切りいけば、結果が出ることも分かった」。

 自信の裏付けは名古屋での3番にある。白鵬、鶴竜の2横綱を破り、千秋楽で「勝てば大関」と言及された重圧の中で大関琴奨菊に完勝した。相撲の自信は、言葉も強気に変えた。「優勝が今の目標」「優勝目指してやるだけ」「優勝には精神力が必要」。白鵬以来8年ぶりの新大関優勝を堂々と何度も口にした。

 8月は相撲人生で最もつらい1カ月だった。先場所中に左膝外側半月板損傷を負い、リハビリに費やした。夏巡業を全休。元気な姿で秋場所の土俵に立つことが相撲ファンへの恩返しとの思いで、乗り越えた。

 大関昇進伝達式では、口上に「大和魂」の言葉を込めた。この意味を、あらためて報道陣に問われ「我慢強さとか潔さとかの意味を込めた。今の自分には必要な心」と再確認した。心と体の強さで日本出身力士8年ぶりの優勝をつかみ取る。【鎌田直秀】

 ◆新大関場所での優勝

 直近では06年夏場所で白鵬が14勝1敗とし、優勝決定戦で雅山に勝って幕内初優勝。02年初場所では、初日から11連勝した栃東が13勝2敗で千代大海との決定戦を制し初V。戦後は49年10月場所の千代の山、59年11月場所の若羽黒、69年名古屋場所の清国を含めた5人だけ。戦前でも双葉山ら3人しかいない。