大相撲の新関脇逸ノ城(21=湊)が28日、福岡・古賀市の宿舎でまげ結い後、初めて稽古を行った。まだ慣れず、ドアをくぐる際はちょんまげ部分がぶつかるなど初々しさも。帯状疱疹(ほうしん)で入院していたことから自らの判断で、予定していた出稽古は2日間、取りやめた。立ち合いの改善に励みながら、焦らずに自身のペースを貫く。

 逸ノ城が、困った顔を浮かべた。「まげが…ドアの上とかに当たるんです」。ざんばら髪時代、少しかがむだけでくぐれていたドア枠の上部に、同じ感覚で行くと、ちょこんとついたまげが引っかかる。何度も。この日も車に乗り込む際、まげの分が1度、はみ出た。まだ慣れない。「なんか違うっす。変な感じです」。初々しい感覚だった。

 まげ姿で初めて稽古を行った。再開初日でもあり、四股やすり足など1時間あまりの軽めだが、少し息が切れた。秋巡業の途中で帯状疱疹を患い、8日間入院。稽古も休んだ。退院後、稽古場に立つのは2度目。「ちょっと重く感じます。背中はちょっとかゆいですね」と、まだ本調子には遠い。

 そんな状態を冷静に見定めた。師匠の湊親方(元前頭湊富士)は今日29日から出稽古を考えていたが「2日間は部屋で稽古したい」と申し出て、承諾された。スピード出世にも自分を見失っていない。そして、ただ部屋にこもるだけではない。師匠からは立ち合いの際の足首を「開きすぎず、もっと内側に入れた方がいい」と指導された。「すぐに踏めるんじゃないか」と、速く立つ形の模索。出稽古前に吸収するつもりだ。

 昼の力士会で、初めてまげを結うと兄弟子らから受ける祝福の「デコピン」を、白鵬と日馬富士の両横綱にもらった。髪を引っ張られることで「目が開いている感じがしていいですね」。今場所の視界は、ますます良好だ。【今村健人】