大相撲の幕内遠藤(24=追手風)が22日、埼玉・草加市の追手風部屋へ出稽古に訪れた関脇逸ノ城(21)と14番取り、9勝5敗と勝ち越した。来年の初場所(1月11日初日、両国国技館)でも対戦が予想される相手に重ね合わせたのは、前日に見た巨大生物特集の番組に登場したホッキョクグマ。最初こそ突き飛ばされながらも屈せず、返り討ちにした。

 獲物を求めてやってきた逸ノ城の前に、遠藤が立ちはだかった。最初こそ強い圧力に飛ばされたが、その後は50キロ以上重い逸ノ城を手玉に取り、14番で9勝5敗。最後の一番では右まわしをつかんだ左手が逸ノ城の尻に食い込み、血だらけになった。まるで狩人のようにモンゴルの怪物を仕留め「特にない。大きかったです」と振り返った。

 逸ノ城と巡業で稽古したことはあるが、部屋では初めて。192センチ、199キロ(現在は200キロ超えとも…)の巨体を見て思い出したのは、前日にテレビの巨大生物特集で見たホッキョクグマだった。体長は2メートルを超える地上最大の肉食獣の姿に「(逸ノ城は)肌も白いので、『昨日テレビで見た』って思いましたよ」と笑いを誘った。

 逸ノ城が目的を持ってきた出稽古だが、遠藤にもメリットがある。「あそこまで大きい人はなかなかいない。ごまかしじゃなくて、前に出る力を少しずつつけていきたい」。上手を取られても、戦い方がある。それを試すには絶好の相手だ。初場所では幕内上位が確実で、逸ノ城との対戦も予想される。「楽しみという表現は違うと思う。楽しみではない」。警戒も怠らず、レベルアップに励む。【桑原亮】