死球離脱を避けるために必要なポイントは-。NPBは31日から後半戦に突入する。巨人と同率で首位につける阪神は前半戦終了時点でリーグ最多の46死球を受けており、対策が必要な状況となっている。猛虎打線は厳しい内角攻めをどう考えるべきなのか。日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(45)が30日、持論を展開した。
◇ ◇ ◇
阪神が今、最も警戒している事象は主力選手の負傷離脱ではないでしょうか。
タイガースの周囲では最近、死球にまつわる話題が多くなっています。チームは今季、死球による骨折離脱者をすでに2人も出しています。近本選手が4月に左手首を骨折し、7月中旬には前川選手も右肩甲骨を骨折。このほかにも他球団から厳しい内角攻めが目立っていることもあって、チーム全体として死球に敏感になるのも仕方がありません。
では、阪神はなぜ死球を当てられるケースが多いのでしょうか。佐藤輝明選手、森下翔太選手、大山悠輔選手ら強打者が多いが故に、相手バッテリーは厳しい内角攻めを続けざるを得なくなって、結果的に死球数が多くなっているのは間違いないでしょう。
プロの投手は内角攻めをするにしても、体を起こすなどして内角球を意識させるけれど体にはぶつけないという繊細な制球力が求められます。内角攻めと死球は決して表裏一体であってはなりません。とはいえ、投手も人間です。手元が狂うときもあります。そんなとき、打者は防衛策を持っておきたいところです。特にリーグ屈指の戦力を誇る阪神の強打者であればなおさら、厳しい内角球に対する準備を徹底しておく必要があります。
大前提として、死球をよける練習、ケガをしないように死球を受ける練習はありません。事前の意識づけやとっさの判断でリスクを減らすしかありません。たとえば、同じ死球でも骨に当たるか筋肉に当たるかの差で、骨折を打撲にとどめられるかもしれません。骨に当たるにしても、箇所を変えれば長期離脱を避けられるかもしれません。
私は過去に顔面死球で鼻骨を骨折していますが、あの1球もなんとか少しでもよけようとしていなければ、目の下に直撃して眼底骨折していた可能性もあります。私の場合は死球を受ける際、できるだけ背中を向けて、なおかつ体を回転させてボールの勢いを全て吸収しないように意識していました。
今の打者は肘や手首にガードをつけることが許されています。もちろん私の現役時代も肘当ては当然のように許されていましたが、数十年前は肘当て、手首のガードともに認められていなかったと聞きます。そんな時代に比べれば、今の現役選手はボールが当たっても負傷を防げる場所が増えています。この防具を利用しない手はありません。
当てられるにしても、とっさに防具で受けられるような意識を常日頃から頭に入れておけば、最悪の事態を防げる可能性は高くなるのではないでしょうか。さらにデータも利用して「このカウントだったら内角球が来る可能性が高い」といった心構えがあれば、間一髪でよけられる確率はさらに高くなるはずです。
強いチームの強打者である限り、厳しい内角攻めは避けられません。死球を当てられるたびにイライラしても自分が損をしますし、どれだけ怒ったところで相手が内角に投げなくなるわけではありません。ならば、死球を受けない、もしくは当てられてケガをしないことも打者の技術の1つだと考えた方が楽かもしれません。少しでも死球離脱の可能性を減らすために、データなり防具なり、使えるものは使って損はありません。(日刊スポーツ評論家)




