キャンプも後半戦に入り、いよいよ各球団の対外試合も本格化します。日刊スポーツ評論家の谷繁元信氏(51)は、ここまで視察した球団の中から気になる選手として、オリックス大下誠一郎内野手(24)を挙げました。

オリックスの大下は、何か気になる存在だ。昨年の日本シリーズ第6戦(ほっともっと神戸)で一打サヨナラの場面に代打で登場。だが力の差を感じさせる三振に終わり、なぜ起用されたのかと疑問が残った。だが後日、日刊スポーツのYouTubeで対談した里崎氏から「21年のほっともっと神戸での打率が6割(他球場が0割5分)」と聞き、極端なデータに驚かされた。

12日の紅白戦を視察した際、ベンチから大声が聞こえてきた。1回から最終回の6回まで、ずっと。大下だった。1人声を出し続ける姿勢はなかなかできるものではない。オリックスは福田のように泥くさくプレーする選手もいるが、少しスマートに見せようとする選手が多い印象もある。そういう中で、もちろんプレーで貢献することが一番だが、ムードメーカーはチームにとって貴重だ。

高校球児のような丸刈り頭に今季に期するものも感じる。技術的には課題もある。だが身長171センチと大きくはないが、小力がある。しっかり振り切り、打席の中で何とかしようという懸命さも見える。一球場での驚異的な打率は、逆に言えば意外性があるタイプ。動物的な選手は対戦する捕手からしても嫌なものだ。打率2割5分ぐらい打てば面白い。今季は他球場での快音が聞きたい。

◆大下誠一郎(おおした・せいいちろう)1997年(平9)11月3日、福岡県生まれ。白鴎大足利2年のセンバツ(対東陵)で、春夏を通じ甲子園初の1試合4二塁打を記録。白鴎大を経て19年育成ドラフト6位でオリックス入団。1年目の20年に支配下登録され、初出場の9月15日楽天戦で初打席初本塁打。今季推定年俸900万円。171センチ、89キロ。右投げ右打ち。