投手王国オリックスに、また頼もしい若手が現れた。2年目の曽谷龍平投手(23)だ。今季は先発陣の一角を務めて7勝11敗。負け数がリーグワーストタイとなかなか白星は増えなかったが、セイバーメトリクスの「FIP」という指標では両リーグ3位に入る好成績をマーク。22年ドラフト1位左腕が、確かな存在感を示したシーズンになった。

オリックス曽谷龍平(2024年6月撮影)
オリックス曽谷龍平(2024年6月撮影)

守備の影響を除いた「仮想防御率」とされるFIPを見ると、今季100イニング以上投げた48投手のうち、佐々木(ロッテ)高橋宏(中日)に次いで3位に入ったのが曽谷。左腕では同僚の宮城を抑えて12球団1位だった。防御率では同条件で13位も、投手そのものの実力として評価される奪三振、与四死球、被本塁打といった項目が優れていた。

24年FIPランキング(100イニング以上の投手を対象)
24年FIPランキング(100イニング以上の投手を対象)

FIPを構成する3項目を見ると、奪三振率で5位、被本塁打率で6位の好成績。今季習得したというフォークを武器に三振を増やし、奪三振率は昨季の7・44から8・85にアップ。ゴロを打たせる投球から被本塁打も少なく、与四死球率もNPB平均(3・00)以下と、いずれの項目も優秀だった。

7勝にとどまったのは、援護点の影響が大きい。平均援護点は2・46点で5番目に少なく、パ・リーグでは最低。最も平均援護点が多かった大関(ソフトバンク)の約半分だった。今季のオリックスでは、田嶋2・83(11位)エスピノーザ2・92(13位)宮城3・02(16位)と他の投手も低かったが、曽谷は特に低い数字に。援護点が多ければ負け数はもっと少なく、2桁勝利に届いたかもしれない。

平均援護点の少ない投手
平均援護点の少ない投手

今オフには利き手とは逆の右手首の手術を受け、来季を万全の状態で臨む準備を整えている。投手本来の実力は十分に示しただけに、来季はタイトル争いに絡むような活躍を期待したい。【多田周平】

◆FIP(Fielding Independent Pitching)守備などの不確定要素を除いた投手の能力値を表す指標。与四球、奪三振、被本塁打で「仮想防御率」を算出する。計算式は{(被本塁打×13)+(与四死球-敬遠)×3-(奪三振×2)}÷投球回+補正値(今年はセが2・74、パが2・75)。平均は3・80~4・20。

■中日高橋宏斗セ・リーグ1位

セ・リーグでは高橋宏がトップの1・78で、規定投球回以上では堂々の両リーグ1位。中日でFIPが12球団1位は01年野口以来23年ぶりだった。FIPは過去5年、山本(オリックス)が1位を独占してきたが、渡米した山本に代わって高橋宏がトップの座に就いた。最近では大谷(日本ハム)や山本が21歳で1位になり、高橋宏も今年が22歳。2人のようなメジャーでも活躍する存在へと成長していきそうだ。

最近10年のFIP両リーグ1位(規定投球回以上)
最近10年のFIP両リーグ1位(規定投球回以上)

◆セイバーメトリクス 米野球学会の略称「SABR(セイバー)」と測定基準を意味するメトリクスを組み合わせた造語で、野球を客観的データで分析し、選手の評価を行ったり戦術を組み立てる試み。メジャーでは浸透しているデータ指標。