広島矢野雅哉内野手(25)が、珍しい記録をつくった。今季は定評のあった守備をいかしてショートの定位置を獲得し、規定打席にも到達。打撃面では打率2割6分をマークしたが、粘りのバッティングが注目を集めた。1打席に22球投げさせるプロ野球新記録をつくるなど、「P/PA」という指標でも両リーグ3位。特にファウルを量産し、打席数495を上回る530のファウルを打つ離れ業を演じた。

広島矢野雅哉(2024年9月撮影)
広島矢野雅哉(2024年9月撮影)

1打席あたりに何球投げさせたかを測る「P/PA」を見ると、矢野は4・41で両リーグ3位。今季の矢野といえば、9月22日中日戦(バンテリンドーム)の6回、涌井との対戦でプロ野球新記録の22球を投げさせた打席が浮かぶ。粘った打席はこの試合に限らず、10球以上投げさせた打席は17度もあり、上位にランクインしたのも納得だ。

今季のP/PAランキング
今季のP/PAランキング

多くの球数を投げさせたのは、やはりファウルが要因。今季は1057スイングしてファウルが530球で、割合にして50・1%。単純に2回振れば1回はファウルという計算で、両リーグ断トツだった。P/PAの高い選手はボール球を見極める選手がほとんどだが、矢野がボールを選んだのは704球で、総投球数の32・3%。これは両リーグで6番目に低く、P/PAが最も低かった小園(広島)をも下回った。矢野の場合はファウル打ちだけで球数を稼いだといっても良いだろう。

今季、スイング時のファウルの割合が高い選手
今季、スイング時のファウルの割合が高い選手

ファウルを打った割合が50%以上の選手は珍しく、55年以降では4人目(6度目)。セ・リーグでは78年高田(巨人)08年赤星(阪神)に次いで3人目だった。矢野のように打席数を超えるファウル数を打ったのは16、18年の中島(日本ハム)だけで、セ・リーグでは初のレアなケースだった。22球投げさせた打席は、ファウル17球でも新記録。ヒット性の打球をさばく守備だけでなく、ファウル打ちで球数を稼ぎ、打席でも独特な存在感を放っていた。【多田周平】

55年以降、スイング時のファウルの割合が50%以上の選手
55年以降、スイング時のファウルの割合が50%以上の選手

■課題は三振

ファウルが多かったセ・リーグの過去2人と比べると、矢野の課題も見えてくる。高田はコンタクト率が高かったので三振は少なく、四球の方が三振よりも多かった。赤星は慎重なスタイルのため三振は少なくなかったが、ファウルで粘りながらボールを見極めて四球も多く獲得。ボールが少なく、三振も100個を超えた矢野にとっては、どちらのアプローチも参考となりそうだ。

ファウル割合の高いセ3選手の三振・四球割合
ファウル割合の高いセ3選手の三振・四球割合