楽天三木谷浩史会長兼オーナー(53)が、余すところなく語ります。球界再編問題を乗り越え、2005年(平17)シーズンから参入。イノベーター(革新者)の精神で平成後期の球界に息吹を吹き込み、13年に日本一を達成しました。来年のオーナー会議では議長を務める大物が、平成最後の年の瀬に何を思うか。ほぼノーカットの5回連載です。

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「準備」「総合力」「意識」。科学的、論理的にアプローチしながら、勝利に必要な3つの要素を高めていく。新任の平石洋介監督は、次代の新しい野球を体現してくれるんじゃないかと思います。シーズン途中から監督代行をやってもらって、いい手応えを持っています。

「何でアイツは得点圏打率が低いんだ」。僕の質問に関して「根性がないんですよ」じゃなくて、理路整然と説明が出来る。イーグルスにとって生え抜き第1号の監督になりますが、選手の特徴を本当に、よく理解しています。非常にインテリジェント(聡明)で、人格者でもあり、リーダーシップもある。

石井一久という、若くて優秀、かつネットワークが広いGMも来てくれました。新外国人選手としてエンゼルスのブラッシュを獲得しましたが、石井GMのお墨付きです。映像を見ると、飛距離はレフトスタンドの通称「楽天山」を越えて、観覧車まで飛ばすんじゃないかという、ものすごいモノがある。ただ彼は、足を上げてタイミングを取る。「変化球を打てるのか」と聞くと、大丈夫である理由を的確に説明してくれる。平石監督と同じで、野球に対する知識が非常に豊富なGMです。

FAで浅村選手も入ってきます。ソフトバンクが頭ひとつ抜けている感はありますけど、力は結構、均衡している。新たな時代に入る2019年は、野球に注目していただきたい。メインディッシュを楽しんで欲しい。

2011年(平23)に東日本大震災があって、2年後に日本一になれた。手前みそで怒られちゃう表現かもしれませんけど、仙台という都市、東北という地方も、イーグルスがあることによってもう1度、息を吹き返すことが出来た。プロスポーツという面で人口が少ない都市だと思うんですけど、仙台から魅力を投げることが出来たのではないかと思います。

具体的なスタジアムのアップグレードに関しては、球団の方で考え、随時やってくれています。ただどちらかというと、施設、企画というよりも、野球のクオリティーに力点を置きたい。長いシーズンを戦い抜いて、勝って、ファンの皆さまと一緒に喜びを分かち合う。原点回帰の1年にしたいと考えていますし、僕自身、楽しみにしているんです。(つづく)【取材=宮下敬至】

6月22日、楽天三木谷オーナー(右)は平石監督代行(中央)と関係者の写真を撮る
6月22日、楽天三木谷オーナー(右)は平石監督代行(中央)と関係者の写真を撮る