関西の大学野球へ気になる新入生の選手情報が飛び込んできた。

台湾人留学生で23年夏に高知中央の中堅手として出場した謝喬恩外野手(シャ・チャオエン=3年)が、全国大会常連校でリーグ戦6連覇中の常勝軍団・大商大へ進学する。同大学に海外出身の野球留学生が在学するのは史上初のこと。

謝が甲子園出場時に取材し、1回戦の川之江(愛媛)では5打数3安打4打点で先制打に、追加点に、謝のバットが止まらなかったことがとても印象的だった。しかし、取材時には当時勉強中の日本語をじっくりと丁寧に話し、冷静な性格だったと記憶している。スタンドではわが子の活躍に、来日した両親が狂喜乱舞。その様子を写真に収めていくうちに、聖地のプレーを楽しむわが子と、応援する両親の関係性に普段は2国間を生活拠点にする、親子のつながりの深さを間の当たりにした。

高校入学に際し来日した謝は現在、日本語をマスターし、流ちょうに仲間と会話しているようだ。富山陽一監督(60)は「競争やからね」と特別扱いはしない方向だ。

自分にとって、“台湾人留学生”にピンときた。小学生の頃、野球雑誌や新聞で目にしたのは、15年に51歳の若さでこの世を去った、中日や阪神OB・大豊泰昭氏だ。94年には一本足打法で本塁打王を獲得。自分よりも年齢ははるか上の方だが、海を越えての挑戦と成功に小学生ながら感銘を受けた。大豊さんは台湾から名古屋商大を経て中日へ。02年現役引退後は中日アジア地区スカウトとして、Aクラス街道の一翼を担ったチェン・ウェイン投手の獲得に貢献。謝は、走攻守3拍子ぞろいで、中軸を担う大豊さんとは異なるが、近年はNPBで上位指名が続く大商大行きには当然、その夢も選択の1つとしてあるのではないか。チーム合流後の謝へ、大学も日本に身を置いた決断や、その覚悟を早く尋ねてみたい。

「大商大の謝」として今後は、Aチームのベンチ入りに向けての奮闘の日々が始まる。大学野球の全国大会の舞台・東京ドームや神宮球場で謝が快音を響かせる日が楽しみだ。【アマチュア野球担当 中島麗】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)

◆謝喬恩(シャ・チャオエン)2006年7月30日生まれ、台湾出身。台湾の中平國小2年から野球を始め、新明國中まで遊撃手と三塁手としてプレー。小6でU12台湾代表に選出され、アジア大会優勝。高知中央1年秋から背番号5で三塁手としてベンチ入り。2年春から外野手に。甲子園出場は2年夏のみ。右投げ右打ち。

2023年8月7日、川之江対高知中央 2回裏高知中央2死二、三塁、謝喬恩は先制の左前適時打を放つ
2023年8月7日、川之江対高知中央 2回裏高知中央2死二、三塁、謝喬恩は先制の左前適時打を放つ
1994年6月26日、中日対阪神13回戦 本塁打を放つ中日・大豊泰昭
1994年6月26日、中日対阪神13回戦 本塁打を放つ中日・大豊泰昭