いわゆる“アレ”だろうか、これは。3連敗を免れた阪神。表現は難しいけれど相手先発がエース格なら沈黙し、そうでなければ序盤から優位に進められる。もちろんロメロもローテーション投手だが試合前の防御率は5・09。前日までの今永昇太、浜口遥大とはやはり違う。右腕だし。

もちろん阪神に限らず、それは当然のことだ。それでもそういう投手に対しては序盤からエンドランを仕掛けるなど積極的に攻められるのに、相手が好投手だとベンチごと固まってしまう印象だ。勝った後で皮肉を言いたくはないが上位進出のためにこのDeNA3連戦は勝ち越しが最低ラインだと思っていただけに口惜しい気分。

そして、ひと息ついたのもつかの間、また難関だ。26日からの中日3連戦、まずは球界を代表する左腕・大野雄大との対決である。相手先発が左腕の試合で阪神は9連敗中。左腕相手は今季通算でも21勝28敗と「借金7」だ。いいかげんにこの状況を打破しないとセ・リーグの最終盤を面白くすることはできない。

さらに最下位・中日とはここまで10勝10敗のタイだが敵地バンテリンドームでは3勝6敗と「借金3」。この日ようやく主催試合で勝った京セラドーム大阪、さらに今季2勝しかしていないマツダスタジアムほどではないにしても“鬼門”の1つだろう。

そして大野雄は言うまでもなく阪神打線が苦手とする相手だ。今季ここまで1勝2敗の結果はともかく、阪神打線に対する大野雄の防御率は1・53。つまり阪神は大野雄から2点も取れない計算が続く。

「点を取らないと勝てない。どうやって取っていくか」。指揮官・矢野燿大は26日に向け、当然のことを強調していたが本当にそうなのである。大野雄を打っている阪神打者は誰か。

現状1軍にいる中では糸原健斗だ。14打数5安打の打率3割5分7厘。そして陽川尚将が3割3分3厘だ。さらに20打数6安打、ジャスト3割の佐藤輝明と続く。佐藤輝は阪神が大野雄から放った唯一の本塁打を4月12日のバンテリンドームで記録している。

とにかく走者を出してかき回し、糸原、佐藤輝らに期待するのが勝利への近道か。これで長期ロードは9勝12敗。ここで3連勝といければ「5割」で甲子園に戻れるが、まずは名古屋でスカッとする得点シーンを見せてほしい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対DeNA 3回裏阪神無死一塁、佐藤輝はバットを折られ右飛に倒れる(撮影・加藤哉)
阪神対DeNA 3回裏阪神無死一塁、佐藤輝はバットを折られ右飛に倒れる(撮影・加藤哉)